第7巻。白露事務局を襲撃したバータルたちは窮地に陥るが、謎の銃撃に助けられるがその主は、ハルビンの青幇・馮英九だった。が、その馮英九は、車のトランクに隠れていた閻馬に撃たれ、すべてに決着がついたのだった
麗華と合流すべく吉林へ向かったバータルとキリルは、日方勇と因縁深い憲兵・長谷川伍長と出会ってしまう。回復した麗華は吉林の満州旗人を次の標的として狙うが……
ハルビン編は、このシリーズらしく超お約束的決着!
窮地には不意の援軍が現れ解決してしまう……なぜ、馮英九はバータルを助ける必要があったんや、お~ん
馮英九に最後、そう言わせながら、閻馬たちの前途が明るいようなイイハナシに収めるのも違和感があった。現地の青幇たちはより激しい報復に出るのではないのか?
吉林ではロン毛の憲兵・長谷川が現る!
満州警察の凡さんを連れて、阿片の売人を拷問、さらには勇の作る“真阿片”を超える高純度の阿片づくりも目指す
裏には“阿片王”里山柾(モデルは里山甫) がいるそうだが、伍長の身分でそこまでえばれるのだろうか?
第8巻。元満州旗人に仕える昊天は、使用人の給料では生活できず、人力車の俥夫で食いつないでいた。客を装った麗華に話をもちかけられ、憧れていた元上流旗人の令嬢・神美が落ちぶれたのを動機に、真阿片の売人となる
一方、真阿片のコピー品開発に苦戦する里山柾は、長谷川伍長に日方勇を追跡させ、闇医者・關志玲の居酒屋へ迫って……
「闇を売る奴は、いずれ闇に呑まれるぞ……」。關志玲の勇への忠告が象徴するように、ピカレスク・ロマン味が増してきた
昊天は阿片の売人になることに抵抗を感じるが、勇はそれを「誰も救ってくれない人を助けるためなら…」と全肯定する!
自分と自分の家族さえ良ければいいという反社会的な考え方だが、政府が阿片を売るという満州国の体制そのものが倒錯しているので、悪対悪の構図なのだ
とはいえ、阿片が誰かの家族を破壊しているのは間違いないので、そうした悲劇との対峙を迫られることだろう
ひとつだけ抜けていたのが、満州貴族の令嬢・神美が纏足(足の成長させない矯正)なこと。馬上に乗ることもあったと言われる満州の女性に纏足の習慣はないのだ
満州人女性の間で纏足への憧れから、不安定な歩行を再現する「旗靴」が流行したそうだが、纏足そのものについて清朝政府はたびたび禁令を出している
ちょいと調べれば分かることなので、画竜点睛を欠いてもったいなかった
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