<第10話 もう誰も頼らない>
心臓病を患う暁美ほむらは、転校初日に保健係の鹿目まどかに連れられ、初めて名前で呼び合う関係に喜ぶ。しかし「ワルプルギスの夜」を迎えた時に、まどかも巴マミも失ってしまう
その結末にほむらはきゅうべえと契約を交わし、タイムリープの能力を身につける
2周目のほむらは、まどかを守ろうと積極的に魔法少女として頑張るが、まどかは「夜」に勝利するも、魔女になってしまう
3周目以降は、きゅうべえの悪巧みに気づき、魔法少女同士で協力しようとするが、さやかが魔女化したことから、マミが絶望し殺し合いに発展。「夜」相手にまどかと戦うも相討ちの形となって……
ほむらがいかにして、クールな魔法少女となったかが描かれる回
それぞれの周回で、他の4人の魔法少女と違った知り合い方をしていて、エピソードが凝縮されていて濃い!
きゅうべえはソウルジェムを得る代わりに、叶える願いの種類は任意で選べないらしく、自分を出し抜く能力を許してしまったようだ
タイムリープものに関する問題の数々、なんで時間はもどっても記憶が保たれているのかとか、いろいろあるけれど、彼女の人格がいかに作られたかというドラマとしての完成度は見事
<第11話 最後に残った道しるべ>
きゅうべえは、ほむらがやってきたタイムリープを見抜き、それこそがまどかの秘める膨大なエネルギーの原因だと指摘する。「まどかを守りたい」ということを根拠に何度もタイムリープしたがゆえに、因果の鎖がうんぬんかんぬんなのだ
美樹さやかの葬式はしめやかに営まれ、周囲の人間にも衝撃を与える。ほむらはまどかに「ワルプルギスの夜」のことを告げて、ついに自らの秘密についても教えた
その夜、役所からスーパーセル(嵐)による避難指示が出て、まどか一家は学校へ避難。ほむらが一人で戦うことになるが……
まどかが世界を変える存在にすらなってしまうことには、こじつけの感は否めないが、それぐらいの理由づけをしなければ設定の空白は埋められない
ほむらが放っておけず、まどかは避難所を抜け出そうとするが、ここで母との対話。理想的な家族を描くのは、魔法少女物の伝統で、こういうシーンがはっきり描かれるから、まどかのその後の行動が趣深いものになる。伝統の強みである
<最終話 わたしの最高の友達>
「ワルプルギスの夜」にほむらは力尽きようとしていた。まどかの抱えるエネルギーを増やさないためにもタイムリープは使えない……といったところで、まどかがきゅうべえと現れる。「私、魔法少女になる!」
彼女の願いは、「全ての魔女を消し去りたい。過去、現在を含めた魔女を」。きゅうべえはそれを「ルールそのものを破壊しかねない」と言いつつ、契約してしまう
神々しいまでの存在になったまどかは、世界各地で苦しむ魔法少女へ手を差し伸べ、魔女になるまでにソウルジェムを回収していく
やがて、まどかは超越的な存在になって、世界中の祟りを引き受けて……
いわゆる神様エンドだった
魔女の源である魔法少女そのものを消さないのは、今までの社会の発展を否定できないことと、きゅうべえのエネルギー回収を認めるといった、各方面で角が立たないラインだからであり、周囲に気を遣うまどからしいベストな願いだったのではなかろうか
自分の存在をこの世から消すというのが味噌で、希望が絶望に代わって魔女を生むのであれば、希望を消すのではなく願う主体である自分の方を消すことで、最悪の魔女にならずに済ますという究極の解決法。ここまで自分を捨てきるヒーローは今どき、なかなかいない
超常的な立場から、衆生(他の魔法少女)を救うというのは、仏教の阿弥陀仏に近い
もっとも何から何までうまく行くわけでもなく、上条との可能性を失ったさやかは魔法少女として成仏(!)する。そして、ほむらたち魔法少女は、魔女の代わりに現れた魔獣と戦い続けることになり、きゅうべえは魔獣から出る祟りエネルギーを得ているようだ
その後、劇場版が作られたように、続編含みのラストなのであった
シリーズ全体を総括すると、サブカル界隈で話題になったのが分かる珠玉な作品というしかない
正直、管理人は少女を主役とした作品にのめり込めないタイプなのだが、いろんなヒーロー物が抱えていた課題に真摯に取り組んでいて、彼女たちの選択を追いかけざる得なかった
魔法少女が転じて魔女になるというのも、不死者が亡者に落ちていくゲーム『ダークソウル』のシリーズを想起させて、「繰り返し」「リピーター」という発想は、ゲーム世代からすれば身近なものだ。失敗を繰り返して突破口をみつける(トライアンドエラー)という、ほむらの戦いも、輪廻を突破して負の連鎖を断ち悟り(グッドエンド)に至るというゲーム体験と大乗仏教がリンクさせたかのようで、この作品はいろんな壁を突破している
惜しむらくは深夜アニメということで、本来届けるべき若年層が広まったのかどうなのか
スマホからアニメ外伝→新劇場版と展開されているけれども……
前回 【配信】『魔法少女まどか☆マギカ』 第7話~第9話
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