<第7話 本当の気持ちと向き合えますか>
魔法少女の秘密を知った美樹さやかは、きゅうべえをなじるが、もはや元の体に戻れず寝込んで学校を休んでしまう
そこへ笹倉杏子が訪れて、さやかを教会跡に連れ出す。杏子は自らが魔法少女になった理由、教会を追放された父親が宗教指導者として復帰して欲しい願いだったことを告白する
良かれと思ってやったことだったが、真相を知った父親は絶望して、杏子を残して一家心中したという
その過去から、もう自分の力は自分にしか使わないと誓い、さやかにも「自業自得の生き方」を勧める
それを一種の開き直りと見抜いたさやかは、「人のためにしか使わない」と弾く
なんだかんだいい影響があったのか、さやかは翌日、学校へ行くが、友達の志筑仁美に幼なじみの上条恭介と付き合いたいと告白されて……
きゅうべえが徐々に本性を現した。ソウルジェムの秘密に関しては、「説明を省略した」「聞かれなかったから」と詐欺師のようなことを言い、戦いのために痛覚を軽減していることに対しては、実際の戦闘の痛みを体感させて、ソウルジェムの有り難みをさやかに思い知らせる。とんだサイコパスである
杏子がさやかに心を開いたのは、言葉とは裏腹に仲間を欲しがったからだが、それを断るさやかの返しは、彼女のキャラクターからすると大人すぎるか
しかし、復帰したさやかに待っていたのが、友達の仁美が上条に告白するという現実。先に告白することができないのは、魔法少女の秘密もさることながら、杏子の奇跡が他人を不幸にした話を聞いてしまったからだろう
さやかは壊れない肉体を生かして、力押しの戦いを仕掛けていくが…
<第8話 あたしって、ほんとバカ>
さやかはごり押しの戦いで魔女を倒した。しかし、杏子の助けを借りたことから、グリーフシードを杏子へ渡してしまう
上条との未来を失った彼女には、「魔女を殺すため以外に意味がない存在」と自分を貶める。それを慰めるまどかには、「私を助けないなら、私と同じ境遇になりなさい」と突き放してしまう
ほむらは自宅で、杏子と「ワルプルギスの夜」について会談。そこにきゅうべえが侵入して、「美樹さやかの消耗が早い」と警告した
さやかは自宅に帰らず、上条と仁美のデートを見張っていた。そして、使い魔と戦っていたところでほむらと出会う
ソウルジェムの汚れを指摘するほむらに、さやかは「あんたたちと違う魔法少女になる」と言い返し、「(ほむらが)何もかも諦めている」「私のために言っているんじゃない」。ほむらもそれを認めて「まどかのため」と、汚れていくさやかを倒そうとするが……
さやかへの最後のひと押し(?)となる、暗いバス内で男たちが交わす会話が、この作品の魔法少女というものの位置づけをメタ的に語っている
ホストとおぼしき男が、キャバ嬢に金を貢がせて自慢しているのだが、それはきゅうべえが魔法少女にしていることそのものだ。甘い言葉で勧誘し、ひとつの願い(お金)と引き換えに、きらびやかな衣装を着て“お仕事”するものの、いつか汚れて消えていく。魔法少女は風俗の世界と似たところがある。それが直接的に表明されたのに驚いた
男たちの語る女を利用し尽くす姿勢は、退院しても連絡ひとつしない上条と重なり、さやかは「こんな世の中を守る価値はあるのか」と絶望するのだ
さて、まどかはきゅうべえに戻す方法はないかと聞くが、「まどかには宇宙の法則すら変える素質があるから」と魔法少女へと誘う。契約を交わそうとした矢先に、ほむらがきゅうべえに銃弾を叩き込む
復活したきゅうべえは、ほむらの能力が「時間操作の魔術」と指摘。ほむらはきゅうべえの本当の正体を「インキュベーター」とする
*インキュベーターは、温度を一定に保つ装置で、孵卵器なども差す。宇宙のエネルギーを保つ、魔法少女と魔女を生み出し続けることをかけているのだろうか
<第9話 そんなのあたしが許さない>
魔女となったさやかに不意打ちされた杏子を、ほむらは連れ戻す。そして、魔法少女の最後の秘密をまどかへ告げる。ソウルジェムは汚れきると、グリーフシードへ変貌し魔法少女は魔女になる。「誰かを救った分、誰かの祟りがとりついてしまう」のだ
きゅうべえは、まどかに「宇宙の寿命を延ばすために必要なこと」と語る。エントロピーの法則うんぬんを乗り越えるためというが、まどかは「私達、消耗品なの?」と真芯をつく。嫌われたきゅうべえは、「いつか君は最高の魔法少女となり、最悪の魔女となるよ」と捨て台詞を吐いて去る
杏子は必死にさやかの死体を保全し、きゅうべえにソウルジェムを取り戻せる可能性を聞く。一縷の望みをかけた彼女はまどかを連れて、さやかの異界へ突入するが……
きゅうべえは、とうとう魔法少女を作りたがる理由を語る。枯渇する宇宙のエネルギー問題を乗り越えるため、異常なエネルギーをもつ人間の"感情”に注目。特に思春期の少女が発する感情エネルギーは、効率が良い
なんだか、スパロボちっくなSFが始まった。ワンチャン、参戦あるのではなかろうか(笑)
杏子とさやかの結末に関しては、作り手の作為を感じてしまった。きゅうべえが語るように、魔法少女をほむら一人にして「ワルプルギスの夜」との戦いにまどかを巻き込むためだが、それは制作側の都合でもある(苦笑)
杏子とさやかにちゃんと心が通った時期がないから、動機は理解できても、その行動はイマイチ納得できなかった
こういうところは、1クール12話の罪だろうか
次回 【配信】『魔法少女まどか☆マギカ』 第10話~最終話
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