<第8話 合金>
エリュン・ガレン(緑森)を彷徨っていた“よそびと”は、ノーリを装った魔女たちに追いつかれる。彼女たちはひざまずいて、「お仕えするために参りました。サウロン様」
しかし、思ったとおりに動かない“よそびと”に、業を煮やした魔女たちは縛ろうとするが、そこをノーリたちが目撃。無謀にも助けようとしたところを、武闘派の魔女に長老サドクが重傷を負わせ、ノーリたちも危機に陥る
そこでようやく覚醒した“よそびと”は、月光蝶(である!)の魔法で、魔女三人をオーバーキル!
“よそびと”は、サウロンではなくリューンの魔法使い(イスタル)らしい
長老サドクの死で、ハーフットのリーダーはノーリの母マリゴールドが努め、ノーリは“よそびと”とリューンへと旅立つのだった
ガラドリエルは負傷したハルブランドを連れて、エルフの都市エレギオンにたどり着く。ミスリルの採掘に失敗した傷心のエルロンドと再会した
小さなミスリルでエルフの滅亡をどう防ぐか、苦心するケレブリンボール卿に、負傷から異様に回復の早いハルブランドが、合金にするように助言する
霧が晴れたように活発な行動をする彼を不審に思ったガラドリエルは、南方国の系譜を調べ直して、それが千年前に途絶えた家系と判明。ハルブランドを問い詰めるが、ここでサウロンとしての本性を露わにする
そして、サウロンの意図は中つ国に平和をもたらずことだと、幻術を弄し始めるのだ。からくもガラドリエルはそれを退け、ケレブリンボールに対してひとつの冠ではなく、3つの指輪を作ればいいとした。いわく「ひとつは腐敗を招き、ふたつは対立を生み、3つは調和を生む」
ヌーメノールへは、ようやく摂政女王と遠征軍が帰還。失明した女王と遠征の司令エレンディルは抱きしめて慰め合う
彼がガラドリエルを救ってしまったのは、エレンディルの名が「エルフの友」を意味するからで、「エルフに味方すると最後は報われる」と言われているが、最愛の息子イシルドゥルを失ったのは高すぎる代償だ
完全に目覚めたサウロンは、3つの指輪が作られたことを察しながら、影の国モルドールへ駆けていった
シーズン1の最終回にふさわしく、タイトルである「力の指輪」が生まれたところで終わった
名シーンが多いのだけど、ガラドリエルとサウロンが対峙する場面で、精神的な戦いに転じるところに、なんだか日本の漫画くささを感じたのは管理人だけだろうか。SF小説やおとぎ話に前例はありそうだけど、こういう使い方には既視感と親近感を覚えてしまった
“よそびと”が家族と離れるノーリに言う台詞「一人ではただの旅だが、仲間が入ればそれは冒険だ」は、ゲーム世代に向けたものに思える(アメリカだとゲーム世代=ほぼ全世代か)
シーズン1の総括としては、暴れん坊ガラドリエル、とでもいう他ない。視点キャラとして、アロンディル、ノーリはいるものの、紛うことなく彼女の物語なのである
構成では“よそびと”をサウロン第1候補に見せ続けて、最終話で魔女に「サウロン様」と念を押させるところが巧みだった
で、原作にハルブランドはいないから、オリジナルキャラと思わせて、実はサウロン。WIKIで人物名を確認している間に、正体を知ってしまったのだけど、それだけに演出の上手さが光って見えた
最終回の挙動が怪しすぎるのが、ラスボスにしては浅はかな気もするが、それが向こうの悪魔像なのだろう
この『ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪』は、最低5シーズンが予定されている。「3つの指輪がエルフに、7つの指輪がドワーフに、9つの指輪が定命の人間に、ひとつの指輪が冥王に……」とエンディングテーマが流れて、今後の物語の流れを予告しているようでもあった
ノーリと“よそびと”の旅、3つの指輪の行方、沈没が予言されているヌーメノールと、気になることが盛りだくさんなので、シーズン2が楽しみでならない
前回 【プライム配信】『ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪』 第7話