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『功名が辻』 第1巻・第2巻 司馬遼太郎

盆休みのための休日出勤とか
まあ、休みが長いのでヨシ


 


美濃を制して天下布武を掲げた織田家の家中に、「ぼろぼろ伊右衛門」と呼ばれる武士がいた。後に、土佐一国の国主となる山内一豊である。その伊右衛門へ、千代という美しい娘が嫁ぎに来たことで運命が変わった。政治感覚に優れた彼女は、京都御馬揃えの際に金10両の名馬を買うなど、戦にしか関心のない伊右衛門を支えていく。信長亡きあとは、秀吉古参の武将として随身し、ついに大名となる

初代土佐藩主・山内一豊と「賢妻」の代表格に伝えられる千代の物語。仲間由紀恵の主演で大河ドラマにもなった
1960年代の作品ながら、妻の千代がはっきり主人公で、武辺者の伊右衛門は操縦される亭主として描いている。賢妻と凡庸な夫という単純な構図は、山内家からは苦言を呈されたようだが、すでにホームドラマの様式が準備されていたのだ
第1巻は千代との婚礼から、京都の馬揃えまで。途中、朝倉方のくノ一・おりん(ドラマで長澤まさみ)が登場して、伊右衛門の唯一の愛人となり、その連れ合いである甲賀忍者・望月六平太に不気味な提案をされるなど、忍者要素が戦国の混沌を感じさせる

第2巻では、秀吉に付き従って中国遠征、本能寺の変後の山崎の戦い、柴田勝家との賤ヶ岳の戦い、対家康の小牧・長久手の戦いと転戦
天下に秩序ができる時代だからか、曲者の六平太は影を潜めて、純粋な立身出世を目指した物語となっていく
ただし、股肱の五藤吉兵衛を犠牲にした槍働きにも関わらず、伊右衛門は不遇をかこつ。徳川家へ出奔するか、あるいは世を捨てるかと迷うが、ここでの千代の対応が面白い
そんな境遇を秀吉の妻・寧々が気にしたのか、伊右衛門を長浜城主としたが、ここで一大事。城を損壊させる地震に見舞われ一人娘のよねを失ってしまうのだ
「出世すれば皆が報われる」、そんな物語にが差し、常識人の千代も自作の小袖を名も知らぬ町娘に与える奇癖を持ち始めるのだった
そして、後半では朝鮮出兵に、継嗣にした秀次の切腹と秀吉の治世に暗雲が。ここでは秀次を「殺生関白」として、当時の講談的な俗説を並べるなど、史料からリアルを追う司馬小説らしからぬ描写が目立つ
伊右衛門は秀次に付けられた補佐役の一人であり、秀次を悪者にしないと「主人を守らずに出世した嫌なやつ」になってしまうので、暗愚な人物にしなければならなかったのだろう


次巻 『功名が辻』 第3巻・第4巻


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