『虚空の旅人』 上橋菜穂子

『精霊の守り人』シリーズ沖縄編?

虚空の旅人 (新潮文庫)虚空の旅人 (新潮文庫)
(2008/07/29)
上橋 菜穂子

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新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは南国サンガルの即位の儀式に招かれる。宴の席には「ナユーグル・ライタの目」と呼ばれる自我のない少女が同席し、サンガルの第二王子が兄の王太子を襲うという不可思議な事件が起こる。そしてその一方で、南の帝国の船団が姿を現わして・・・
前巻が殺せないキャラが事件の主役を務めたため甘く感じたが、今回は出だしから峻烈である。罪の人間が勝手な事情で命を失っていき、生き残った少女スリファに過酷な使命が与えられる
この少女の視点で転がっていくと思いきや、チャグムやタルサン王子の筋からも絡んできて話が複雑に。貴族階級のチャグム、タルサンと流浪の民であるスリファの視点が交互に絡んでくることで、サンガルという世界が奥行きのある物として描くことに成功している
なおかつそこにマキャベリストのお姉様が加わって、陰謀の華が満開(!)
どうなるかと思ったら展開も見事に終盤に収束して、締めも美しい。いや、恐れ入りました

サンガル王国のモデルしてはやはり琉球王朝が浮かぶ。王国と島守との関係は本島と従属を強いられた周辺諸島のそれに近いと思われる
小説では王家の女性たちが島守に嫁がせて監視させるという、手の込んだ同化政策が登場する。当然、島守たちにはそれに反発する感情があるわけで、それは島々の民のそう
チャグムの新ヨゴ皇国とサンガルは南の帝国の侵略に対して利害が一致するが、島守たちにとって同じようには行かない。彼らは得する方につきたいし、自分たちの権益を守りたい
小説ではそうした生臭い事情が妥協なく表現されている。守り人シリーズも国際社会に漕ぎ出して、善悪全く定まらぬ領域に到った。今後、チャグムの精神がもつか心配である

タルサンの起こす事件とその経過が強引だったり、強力な呪術師とチャグムとシュガが根性で決着をつけてしまうあたり筋が荒いように思えたが、とにかく美しい展開と収束には大満足
事件は解決したものの、個々のキャラクターにとって何一つ終わってはいない。ここで起こった波紋が次巻にどうつながるか、非常に気になるところ
次の文庫化まだあ~という心境であります
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コメント

No title
「おぉ、チャグムが立派に成長している」と
ちょっと感動してしまいました。
トラックバックさせていただきました。

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虚空の旅人 上橋菜穂子
新ヨゴ皇国の皇太子チャグムが、シュガとともに向かったのは、ヤルターシ海のサンガル王国だった。新王の即位の儀に招かれたのだ。ところが...
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