幼くして母を亡くしたあずみ(=上戸彩)は、徳川の家臣である小幡月斎(=原田芳雄)に拾われた。天海入道(=佐藤慶)から密命を受けた月斎は、あずみら戦災孤児10人を刺客として育て、生き残った5人を連れて徳川に仇なす大名たちを討とうとする。目標の一人、加藤清正(=竹中直人)の家臣・井上官兵衛(=北村一輝)はそれを察知し、最上美女丸(=オダギリジョー)などの悪党を解き放つ
『散り椿』がレンタルビデオ屋になかったので、こちらを。『時代劇入門』でもこれが当たれば、女主人公の時代劇が増えたのではと期待されていたのだが……
ストーリーは冒頭からすさまじい。10人の仲間が仲の良い同士で殺し合い、生き残ったほうが刺客として使われる。あずみの相手が恋人未満のなちで、演じるのは小栗旬。まさか、小栗旬がここで散るとは思わんよ(爆
なんで、月斎に逆らうやつが一人もいないのか、10人を5人に減らして人的損失は大丈夫なのか、その後の結束に影響しないのか、原作ゆえ致し方なしなのだろうが、いろいろ突っ込みをいれたくなる波乱の序盤である
しかも、中盤以降は、残った五人と月斎は和気あいあいとした雰囲気で旅していくので、なんだか感は残る
あずみは先日見た『るろうに剣心』でいうと、幕末時代の剣心。月斎の使命に疑いを持ちつつも、月斎への恩と仲間たちのために次々と人を斬っていく
大道芸人の八重(=岡本綾)と親友となり、女性として目覚めるものの、彼女と賊に襲われたことから、刺客としての人生に舞い戻る。剣心と真逆の結論だが、戦国時代で忍者のような存在なら妥当なところだろう
本作も『るろうに剣心』と同様、スピード重視の殺陣だった。ただ、あそこまで極端ではなくて、普通の殺陣とCGで加工した部分が入り混じっていた
剣心が2013年、本作は2003年と10年の差があって、ベタにCGを感じさせる演出も目立つ
そんな中でも伝統的な殺陣を行っているのが、月斎が加藤清正の元へ斬りこんでいく場面。やっていることは原田芳雄無双なのだが(笑)、静と動、動きのメリハリで魅せる
これと比べると、CGやワイヤーを使ったアクションは、人間の身体能力を超えた超人に見せてしまう。主人公やその敵役が周囲から別の生き物のようになって、視聴者になんでもありと感じさせては、作品の世界観が壊れてくるのだ
原作は良く分からないが、ラストで忍者に近い存在のあずみが正面から殴りこむというごり押しの作戦が通用して笑ってしまった
本作は伝統的な様式と並列しているので、CGで頑張りすぎたときの弊害が良く分かる
それはともかく、今は亡き名優の演技に、かつての朝ドラヒロイン・岡本綾、カモキャラにノリノリのオダギリジョーが観られたのは良かった。キャストも豪華で、見所の多い作品である
いまいち受けなかったのは、この時代の上戸彩に女性人気がなかったからか、グロ表現などで女性に敬遠されたからだろうか
『るろうに剣心』ともども、これの続編も観てみたいと思う
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【BD】『るろうに剣心』(実写版)