『アベニールをさがして』 第2巻 富野由悠季

ロボットもの文学


アベニールをさがして〈2〉 (ソノラマ文庫)
富野 由悠季
朝日ソノラマ
売り上げランキング: 287,240


アラフマーンで宇宙へ飛び立った笛吹たちは、スターバスタープロジェクトシャトル“キャロル”に救助された。テンダーギアの襲撃者には、プロジェクトの一部局である“ネフポ”の元隊員たちが参加しており、その異様さを感じたキャロルのスタッフともに策源地とされる月の裏側にあるプロト・フロンティアへ向かう。しかし、彼らを迎え撃つコンラッド・ヘイヤーガン大佐はアラフマーンの同型機を持ち出すのだった

普通のテンダーギアに対するアラフマーンの実力は絶大である
捕虜にしたゲイズ・カレッカとアラフマーンの奪還にきたテンダーギア12機を、一瞬に葬ってしまう。ただし、インティパの作用により、キャロルの各クルーに敵パイロットの感覚が飛び込んできて、それぞれの飛散する意志を感じさせる
ニュータイプは個人の資質で意志疎通ができるものだったのを、アラフマーンのインティパ効果は強制的に現象として体験させてしまう。自意識を強制的に解放してしまうのは、大麻パーティというか、ニューエイジ的なものを連想させてしまうが、各人の個性は残るし意識を統合させようというわけでもないようだ
このアラフマーンと対峙できるのは、やはり同じアラフマーン・タイプのみということで、プロト・フロンティアに迫る笛吹たちに対して、宇宙帝国建設を狙う首魁コンラッド・ヘイヤーガン大佐メッサードという先行機を駆る
アラフマーンとメッサードの関係はどこか、ターンエーとターンエックスを思わせるのは偶然だろうか

アラフマーンが普通のテンダーギアに対して一方的に狙撃してしまうので、戦闘の描写はあっさりである
本巻のだいご味は、捕虜にしたゲイズ・カレッカまでも交えたサロンのような会話ベストン・クーリガが感じたアベニールとは何なのか? スターバスタープロジェクトとインスパイアーエンジンを生み出したという秘密結社ネオ・フリーメーソンの関係とは? コンラッド・ヘイヤーガン大佐の目指すものとは?
まるで『魔の山』などの西洋文学を目指しているかのように、それぞれの立場で変わりゆく情勢のなか、想像を巡らしていく。さらには科学技術の発達、政治の民主化が人間に何をもたらせたのか、と文明論も問いかけられる
前巻の最後ではコンラッド・ヘイヤーガン大佐の思想現状の人類にインスパイア・エンジンの獲得させると、今まで以上に地球で腐敗した社会を作るから、新しい時代に見合った政治組織によって統制せねばならない……に対して、笛吹は「それはサージェイの日本と同じではないか」人間の集団である以上、組織が腐敗することを計算に入れていないと吐露した
ならば、それ以外にどんな選択肢がありうるのか、問われることになる
小型のスペース・コロニー、フロント1にはアベニールを名乗る教主の新興宗教コスモ・クルスがあって、宇宙において地上のコピーのような環境をこしらえていた。宇宙で地上と同じことをするのなら、なぜ地球に住める努力をしないのか、『ガイア・ギア』と同じ視線を感じた


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