『武富士 サラ金の帝王』 溝口敦

実際のトイチは10万円までとか。それぐらいなら、パチンコで返せると思う客がいるから……


武富士 サラ金の帝王 (講談社+α文庫)
溝口 敦
講談社
売り上げランキング: 301,158

一時代を築いたサラ金、消費者金融はいかにして発展したか。サラ金の帝王たちに斬りこんだノンフィクション

タイトルには武富士に焦点があたっていて実際、もっとも紙数が割かれているが、「プロミス」「アコム」「アイフル」「レイク」にもそれぞれ章が割り当てられている。サラ金業界総ざらいなのだ
ただ初出が1983年貸金業法・出資法の改正に合わせていて、2003年に文庫版した際に、その当時の現状を記した序章、あとがき、追加の章が加えられている
今や軒並み、銀行の傘下に入り法律も改正された、過去のことと思われがちだが、『ナニワ金融道』に続いて『闇金ウシジマくん』が生まれてしまうように問題が終わったわけではない
サラ金の手口そのものは80年代から変わっていないので、その誕生から業界人の発想を知るに損はないだろう

タイトルにある武富士は、2003年ジャーナリスト盗聴事件で武井保雄会長が逮捕され、過払い請求の増加とイメージ悪化から2010年には会社更生法が申請され韓国の消費者金融へ身売り。やがてそこでも資金調達できないことから、Jトラストのグループに事業が継承されるも、実質的な消費者金融事業は行っていない
消費者金融の栄枯盛衰を象徴する企業といえよう
全盛期の武富士はやばい!
朝、出勤すると、支店には会長と息子の写真が飾られていて、御真影のように「会長、おはようございます! 本日も一日お願いします」と大声であいさつしなくてはいけない
グループ子会社に豪邸を築かせて安い家賃で借りるなど、帝愛の兵藤会長のモデルはこの人ではないだろうか

サラ金こと、消費者金融は自分の金を客に貸しているわけではない。どこからか貸し出し資金を調達しなくてはならない
初期はどこも相手をしないので、ヤクザ、脱税した資金などのアングラマネーから。誰にも貸さない相手に貸すのだから、高利貸し同然の闇金だ
78年以降に外資系銀行が流れ込む。海外でも消費者金融が発達して、日本での需要を見込んだのだ
81年以降になると、いよいよ相互銀行信用金庫都銀までもが貸し出しを始める。高利で貸し付ける消費者金融は利益率がとんでもなく高く銀行側も高い金利をつけられる。銀行もまた、甘い汁を吸っていたのだ

そうして貸し出された金を業者が客に貸すのだが、返せなくなった場合、大手の業者は中小業者を紹介する。もちろん、そうした業者は大手より金利が高く、貸し倒れのリスクが高まる
そこでさらなる業者が紹介され、貸し倒れが確定的になると、いよいよヤクザの手に渡る。手形を半分で売ることになるが、ヤクザの取り立てはほぼ成功するので、それでも儲けは残る
往時には払わなくていい近親者を巻き込んだり、連帯保証人で払う人間を増やすなど有名な手口もあって、客を首つりあるいは、風俗に落とすまで終わらないシステム金融が完成された
本書では1983年の貸金法規制で慌てる業界を描いているが、実際には中小が淘汰されただけで大手は「むじんくん」などのATMの登場に大々的なCMが打たれるなど、ゼロ年代に規制を受けるまで大手を振ってこの状況が続いたのであった
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