『性愛文学』 谷沢永一

官能小説と文学との差とは?


谷沢永一性愛文学 (ロング新書)
谷沢 永一
ロングセラーズ
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日本人男性の性知識は歪んでいる!? 「性交文学」から探る理想の性交

2011年に亡くなった保守系の文芸評論家なのだが、こんな珍妙な書を出していた
戦後、男女の性が公に語れるようになって、「戦後はヴァンデ・デ・ヴェルデから始まった」という言葉があったという。ヴァンデは『完全なる結婚』三部作の著者であり、同書は夫婦の性生活に関するマニュアルで、世界的ベストセラーだった
それに引き続いて、日本人にも高橋鐵などの性研究者が登場した。しかし、彼らの研究は四十八手などの「体位」に限られ、著者は実践的になんの効果もないと一刀両断する
むしろ正しい性知識について語っているのは、フィクションに近い文学作品(!)だという。一例に挙げるのが、永井荷風の『腕比べ』
そして、文学のテーマとして「性交」を描き続けた第一人者として、富島健夫を掲げる。若者の性について、余燼の追随を許さないという

エッチを文学で知ろうとするなどは、百聞は一体験に如かずと思うのだが、本書を読んでみるとそれでもなお、世間に誤解が漂っていることが分かる
処女は初夜で出血するとは限らない。しかし、古くからそう信じられたがゆえに、アラブでは羊の血をベッドに撒くなどの対策が練られた。現代でも医学的に処女性を証明することは難しいらしい
それでもかつ処女へのこだわりが近代にも残ったのを、著者は男の性器への不安だという。ようは大小や技巧を比較されるのが辛いというわけだ
こうした性器への不安は女性のほうにもあり、数の子、みみず、巾着などの“名器”といった男の幻想に苦しめられてきた。膣は不随意筋であり、女性の側から名器が語られることはない
本書では富島健夫を引用して、「男の値打ちは職場にせよ家庭にせよ性交は勿論のこと、交渉を持つ相手の気分をどれほど的確に感じとり、即座に反応できるかの機転にかかっている」と結論する

富島健夫に次いで取り上げられるのは、広山義慶の『女喰い』シリーズ!
これが我が国初めての「性交文学」(!)というのだ。「舌にけっして言及しないのが純文学。舌の無際限な効用に言及するとき、それは大衆文学、と貶められる」としつつも、8の字攻め」という実践的な性技を叙述する快挙を遂げたと称揚している(爆
本書のテーマは濡れ場の文章を引用し続けるイロモノであるものの、著者の博識に支えられた蘊蓄が奔放に書かれていて、なかなか楽しめる一書だった


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