『ガイア・ギア』 第5巻 富野由悠季

ふと買ったプレイボーイの記事に、富野インタビューが!
Gレコ劇場版も、あと一週間


ガイア・ギア〈5〉 (角川文庫―スニーカー文庫)
富野 由悠季
角川書店
売り上げランキング: 221,322


ホンコン・マハの登場に状況は絶望的に思われたが、アフランシはビジャン・ダーゴルの行動を分析し、合理的に見えるマハがロマン主義に傾倒していると見抜いた。メタトロン側にも新型量産機の増援が到着し、メッサーがウルのブロン・テクスターを捕獲するなど、決戦の機は熟した。しかしその裏でメタトロンの老人たちは地球連邦政府と取引、援軍のパイロットにアフランシ抹殺を命じていたのだった

いよいよ最終巻
メタトロンの苦境を救ったのは、意外にもガイア・ギアに乗ったメッサー・メット!
仲間と改装されたウル・ウリアンのブロン・テクスターを鹵獲し、自らの搭乗機にしてしまったのだ。これに第三波の援軍にガイア・ギアをもとにした量産機ガイアスが加わることで、劣勢は変わらないものの戦場の流れは変わる
アフランシはウル・ウリアンを尋問したことで、理知的な管理社会を唱えるマハが、実は地球への感傷的なロマンチシズムを持ち込んでいると見抜く。安定したスペースコロニーの人口環境が、地球の自然に対して幻想的な憧れを生んでしまうのだ
そこに地球の厳しい自然、汚染された環境へのリアリズムはない
ビジャン・ダーゴルのガイア・エンペラーはそれを選民主義で突破しようとするものであり、いわば最悪の“レコンギスタ”だった

唐突に姿を現したのは、アフランシの本妻エヴァリー・キー!
クリシュナを救った彼女は、ゾーリン・ソールで抜け出したジョー・スレンと合流する。しかしジョーがウル・ウリアンに撃破されたことで、クリシュナは動揺しエヴァリーをウルへ売ってしまう
前回、フォローする記事を書いてしまったのでアレなのだが、彼女は女なのにクリシュナという最高位の男性神の名をつけられ、コンプレックスを抱いていた。そこに愛してくれる男性を殺された上、憧れのアフランシの妻が現れたことで、自分とのギャップに嫉妬してしまったのだ。戦場にこういう女と女の機微を持ち込むのは、富野監督ならではだろう
アフランシの敵役であるウル・ウリアンは、あくまで戦闘という狭い世界に生きる男である
ビジャンへのあてつけで、お気に入りのノイシュバンシュタイン城へ、エヴァリー・キーを置き去りにし、宿敵との対決に執念を燃やした
一見、柔弱で女性をコマしてみせるが、アフランシには妙な男の義理を果たす
荒廃したままの城の玉座にエヴァリーが座る光景は、映画のラストシーンのように神々しいのであった

どこでの発言か定かでないので恐縮だが、「吹っ切れたシャアはアムロより強い」という言葉を聞いたことがある(シャアのWIKIに似たような記述があった→シャア・アズナブル-WIKI
アフランシ・シャアは南の島で“健全”に育ち、シャア・アズナブルの不幸な出自を背負っていない。ではニュータイプとして最強かというと、まったくそういうことはない
要所でシャアのメモリーチップが鳴り、それらしく行動できるものの、指導者としてのカリスマ性は持ち合わせず、いろんな場所でドジも踏む
本人もお仕着せの指導者“シャア”ではなく、あくまでいち青年“アフランシ”にこだわり、地球の最前線を居場所に求めた
この“アフランシ”にとどまったことで、最愛の人“エヴァリー”との再会を果たし結ばれ、子供すら得られようとするわけで、その意味で本家のシャアもアムロも超えたといえよう
シャアがララァに癒しと甘えを求め、戦場にまで送り出してしまったのと対照的な在り方である(シャアにはシャアの事情があるけれど)
いわば、本当のニュータイプとは、地球を汚染せず他人に迷惑をかけず暮らしていける人々であり、エヴァリーのような女性を得て家庭を築けるるように研鑽を積まねばならぬのだよということなのである。作品世界でそういう精神性を持たずに地球に帰還するのは論外というわけだが、では今の地球に住む我々はどうなのか、地球に住むにふさわしい人間なのかが問われている

語り切れないことばかりである。文体でいえば、『閃ハサ』ほど風景の描写が薄く、接続詞「しかし」が多用される点などが気になったが、終盤にキャラクターたちが熱くなっていくと、擬音や短文での改行が増えて、読者を詩的な陶酔に引き込んでしまう
こういう畳みかける技法は、絵師にある程度イメージを委ねるラノベに、大きな影響を与えているのではないだろうか
後、最後のアフランシの台詞、「……ミランダ、勘弁してくれっ!」は、メタ台詞ぽい(苦笑)。アフランシはミランダがやつれていくのを見て、「彼女も普通の人なんだ」と自立していくのだが、彼女との惜別の場面はない。ねじ込めず申し訳ないということかな


前巻 『ガイア・ギア』 第4巻

関連記事 『閃光のハサウェイ』 上巻
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