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『ガイア・ギア』 第1巻 富野由悠季

既読ですが、だいぶ記憶から抜け落ちています


ガイア・ギア〈1〉 (角川文庫―スニーカー文庫)
富野 由悠季
角川書店
売り上げランキング: 281,935


宇宙世紀203年。南の島で育った青年アフランシ・シャアは、嵐の夜に長老ガバ・スーの遺言を受け取った。「おまえは宇宙へに出よ…」。その瞬間に、アフランシの頭の中に音が鳴り始め、流れ着いたモビルスーツマン・マシーンは彼に新たな記憶を呼び起こし始めた。最愛の恋人エヴァリー・キーを振り切って、ホンコンを目指すが、そこにはジオンの志を受け継ぐ秘密結社が動いていたのだった

富野小説の中でも、独自の宇宙世紀の歴史を経たシリーズ
逆シャアからは100年以上、Vガンダムからも50年過ぎており、ノベルズ作品では宇宙世紀で一番先の時代のはずだ
『ベルトーチカ・チルドレン』『閃光のハサウェイ』と世界観が同じかというと、そうは言いきれない。月刊ニュータイプに連載されていた時期が1987年から1992年にかけてであり、上記ふたつの作品に先行しているのだ
読者としては、逆シャア後の「新しいシャアの物語」ぐらいに受け取っておけばいいのだろう。なにせ、諸般の事情により、モビルスーツという言葉が使えないぐらいで、バンナムの宇宙世紀と完全に別系統の未来なのである
あまりに先の未来だからなのか、上記二つの作品に比べると描写が薄く、オリジナルの宇宙世紀なのにアニメのノベライズのよう。手探りで世界を作り上げているかのようだ
その分、登場人物同士の問答に監督の考えが濃縮されていて、なんだかんだ吸い込まれてしまうのだが

アフランシ・シャアは単身、島を飛び出すのだが、いろんな人物が絡んでくる
最初に着いた島では、謎の活動家トルース・シュトロンガーから「アフランシ」の意味を教えられる。「ア・フランシ」とは、自由にされたフランク人、つまり白人の総称であり、アフランシは“白人の使命”を背負わされて、南の島へ修行に出されたのではと解釈する
トルースが白人至上主義とまではいかないまでも、一種の選民主義者には違いなくアフランシは反発する
そこからホンコンへ向かう船では、トルースの差し金とおぼしきテロリストに襲われる
そして、ホンコンで拾われたリムジンで、ジオンの秘密結社のバアム・ゼーゲンと出会う。彼はトルースと知り合いであり、アフランシはある計画に基づいて伝統的な人間の営みを保存する実験区で監視されていたらしい
ジオン・ダイクンの思想には、宇宙移民の解放・独立ともに、スペースノイドの選民主義も含まれている。産まれ直したシャアであるアフランシが、過去の呪縛からどこまで自由になれるのかがテーマとなりそうだ

さて、宇宙に登るためにはシャトルに乗らねばならないが、それは本来、特権階級でなければできない。そこでバアムはマン・マシーン“ゾーリン・ソール”を渡し、アフランシは導かれるように発進してシャトルをジャックしてしまうのであった
アフランシの頭のなかには謎のメモリーが詰まっており、それが時限爆弾のように彼を動かしてしまう
登場人物では、島では“正妻”のエヴァリー・キーに、大人のキャリア・ウーマンであるミランダ・ハウ、インド系の美少女でララァ枠(?)クリシュナ・パンデントと、いろんなタイプのヒロインが目白押し。味方では女性の存在感が際立っている
ラストにはふらりと闇落ちしたハサウェイ(!)のようなウル・ウリアンが参上。まるで威圧感がないのに、アフランシにプレッシャーを与える知性派の好敵手だ


次巻 『ガイア・ギア』 第2巻・第3巻

関連記事 『閃光のハサウェイ』 上巻

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