『秘本 東方見聞録』 赤羽堯

モンゴル人に化ける鎌倉武士の巻


秘本 東方見聞録 (光文社文庫)
赤羽 堯
光文社
売り上げランキング: 1,445,415


あのマルコ・ポーロは日本に渡っていた! 日蓮の説く法華宗に心酔する鎌倉武士・内藤甚太郎は、蒙古の大草原にあこがれて南宋出身の禅僧のつてで、モンゴル帝国の大都に潜入した。治安の役人となった甚太郎は、酒場で喧嘩に巻き込まれたマルコ・ポーロを助ける。日蓮が予見していたモンゴルの日本遠征を知ってしまった甚太郎は、自分に代わってマルコを日蓮への連絡役を頼む。マルコも‟黄金の国”ジパングへの興味から、快く引き受けるのであった

「ウンベルト・フーコの『薔薇の名前』に匹敵」が宣伝文句の歴史小説である
『薔薇の名前』は未読なので比較はできないものの、作品の傾向はだいぶ違うと思われる(爆)。現在、世界に遺された『東方見聞録』(原題『世界の叙述』)は、獄中のマルコ・ポーロから物語作家ルスティケッロが口述筆記したもの。著者はマルコ・ポーロ自身が後に書いた真の『東方見聞録』を発見したとして、それを小説化したのが本作品というのだ
物語は日蓮が法華宗への迫害を受けるところから始まる。主人公の内藤甚太郎は、蒙古の大草原へのあこがれと予見された日本遠征への危機感からモンゴルの支配する大陸へと渡る。マルコ・ポーロも父と叔父の後を追って、‟元”の国号を称していたモンゴル帝国に渡り、甚太郎と接触する。以降は甚太郎とマルコの二人の視点で、モンゴルと日本での物語が進んでいく
山場は日蓮とマルコ・ポーロの対面であり、第二次元寇=弘安の役。主にモンゴル側からの視点で日本遠征の困難が細かく描かれている
外交に下手を打ち続けて大帝国の侵略を招く鎌倉政権に、面子を潰された名君フビライが無謀な遠征を続けてしまうという、どちらにも勝者が生まれない構図なのである

本作でクローズアップされるのは、元寇であり日蓮
小説の日蓮は、もとから元寇を予見して「立正安国論」を書いていて、弟子を通して大陸の情報を集めていたことになっている。ただの宗教家であるだけでなく、政治家としての側面も持ち合わせていて、モンゴル帝国の情報と引き換えに、北条時宗の側近に法華宗のみに敵国降伏の祈祷を集中させることを持ち出したりしている
マルコ・ポーロと日本の仏教者を代表して宗論させるとか、高度の天文学を駆使して嵐の来る季節にモンゴルの船団をマルコと甚太郎に誘導させるとか、かなり持ち上げられて書かれていて、作者の宗旨が影響しているように思えた(実際に法華宗系の信者かは分からないが)
扱っている素材のわりに、日本人向けの作品に仕上がり過ぎているのが珠に瑕だが、当時の鎌倉が宋の商人や禅僧がやってきて国際性があったことなども描かれていて、元寇の時代を扱った貴重な歴史小説には違いない
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