『ダーク・タワー 第1部 ガンスリンガー』 スティーヴン・キング

クトルゥフ神話→スティーヴン・キング→村上春樹


ダーク・タワー1 ガンスリンガー (新潮文庫)
スティーヴン キング 風間 賢二
新潮社
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ただならぬ荒野で、一人の男が旅していた。男は最後の‟ガンスリンガー”=拳銃使いのローランド。彼は王国を滅亡させた<黒衣の男>を追いかけていた。<黒衣の男>の魔術によって散々いたぶられるも、謎の少年ジェイクと出会う。奇妙な洞窟を抜けた向こうで、いよいよ<黒衣の男>に追いつかんとするが……

原作を読むと、映画のことがある程度解せてきた
第一巻なので世界観のすべては掴めないものの、ローランドのいる世界は現実世界からの完全な別次元とはいえない。ローランドはガンスリンガーたちが王に仕える国に属していて、それが繁栄した時代もあったが、その一方で過去の遺物として現実世界の物体が存在している
その「現代」から流れ着いたとおぼしき少年ジェイクは、それをローランドに説明して見せるのだ
とはいえ、ガンスリンガーは西部劇のガンマンを超人化したような戦闘力の持ち主であり、タルの街では二丁拳銃で映画のような超絶アクションを見せる。物語の世界自体は開拓時代のウェスタンなのだ。日本人が戦国江戸の時代劇を好むように、アメリカ人にとっての心の故郷なのだろう

著者による序文が面白い。富野小説のあとがきのように、ぶっちゃけっている
本作は大学時代、19歳のころから書き出したもので、著者自身も後で振り返ると若気の至りで恥ずかしい内容だったそうだ
いろんなライターのセミナーに通っていたせいで、妙に凝った文学的な表現になってしまい、リライトしても第一巻にはその名残が残ってしまったという
映画で19」という数字が<中間世界>へのキーとなっていたのも、19歳という年齢に由来しており、大人の世界へと連れ去られていくイメージと重なっているようだ。本巻でも、アリスという女性が言ってはならなかった禁忌の数字が「19」である
著者の打ち明けるところ、19歳当時(1970年)はヒッピーの間で『指輪物語』が大流行しており、本作もキング版指輪物語といわれるほど甚大な影響を受けている。ガンスリンガーの王国が内部から崩壊したところなど、指輪の力が内面から<悪>を吹き込んでいくところと重なるし、人をたぶらかす<黒衣の男>はキリスト教世界の悪魔そのもの。なにせ、ラストにガンスリンガーと対峙する場所が、キリストが十字架にかけられた「ゴルゴダの丘」なのだ
<黒衣の男>が説く宇宙大の世界観と触れれば狂気の真理はクトゥルフ神話の影響も感じる。それを直接感じさせるところが、第一巻の若さなのかもしれない
『ダーク・タワー』シリーズはその青い設定(!)ゆえか、中編の連作として断続的に書かれては中断していたものの、末期がんの祖母から続きが気になるといわれたり、本人が交通事故に遭うなどの出来事を経て再開され、2002年を持ってようやく完結した
果たして、どう転がっていったのか、これから楽しみである


次巻 『ダーク・タワー 第2部 運命の三人』

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