『誤解された仏教』 秋月龍珉

用語辞典片手に読む必要があるかも


誤解された仏教 (講談社学術文庫)
秋月 龍珉
講談社
売り上げランキング: 315,712


仏教に霊魂はなく、あの世もなく、輪廻転生もなければ、「三世の因果」もない! 現代の仏教イメージを洗い流す説法
気さくな語り口ながら、専門用語もいろいろ飛び出してくるから、なかなか難解だった。仏教系の高校を出ているのに、記事にできるほど理解しているか怪しい(汗)
本書は現代に流布する葬式仏教のイメージ、あるいは霊感商法に利用されるような霊魂や霊界、輪廻といった概念が、まったく本来の仏教とは関係ない誤解の産物であり、本来の仏教の在り方を現代に問い直すものである
著者は最初、プロテスタントの牧師の伝道を受けながら、禅への道を進んで鈴木大拙西田幾太郎の影響を受け引き継いでいる人物。禅者でありながら浄土系の教えにも理解しめしていて、原理原則に厳しい一方で、相手を全否定せず仏教の枠組みの中でとらえ直す柔らかさが、いかにも仏教らしい

なぜ釈尊が語っていないことが、仏教に入り込んでしまったかというと、古代インドから中国を経て日本へ伝わるまでの間、また日本全国へ浸透するまでの間に、各地の土着の宗教と習合して伝播していったからだ。日本でいえば、古来の神様が仏陀の弟子となる神仏習合がまさにその典型
そのため、「死者をホトケ」と呼んだり、「神も仏もあるものか」という言い回しがあったり、あの世や霊魂の存在が語られたりする
釈尊は小乗の『阿含経』と呼ばれる初期の経典において、「後有を受けず」と言い切っており、死後の世界や霊魂の存在を明確に否定している。輪廻に関しては、バラモン教の世の中に生まれたゆえ当初はそれを信じていたものの、悟りを開いて以後は「無我」説を説明するために「縁起」を持ち出しただけで(「因果の道理」)で、輪廻はおろか「三世の因果」も否定している
現在の仏教において、「天」「人間」「修羅」「餓鬼」「畜生」「地獄」の六道輪廻は、一人の人間の精神状態あるいは人生の在り様として解釈できるという
著者は日蓮を評価しつつも、日蓮宗の「折伏」については修羅道に通じると否定的。「法」のために他を折伏するのは‟降魔の剣”であって、正義の戦いなど仏教にはないのだ

著者は誤った仏教理解を、ビッシビッシと裁いていくのだが、単純な原理主義者ではない。「死者をホトケ」ということも、どんな人間でも死んだら許すという思想自体は、日本人が仏教から学んだ心として評価する
仏教か否かが疑われている密教に関しては、古代インドのウパニシャッドのような、世界との合一を目指す「梵我一如=神秘主義」に対しては仏教ではないと否定する。仏教と古代インド哲学は別物なのに結び付けられやすいので、注意が必要だ
ただし、空海の密教に対しては、本来の仏教の範囲内だとしている
仏教の修養は、自我を離れる「無我」を目指して「本来の自己」に出会うものであって、より大きな存在と一体化するものではないのだ
阿弥陀如来による救済の教えから、キリスト教との類似点の多い浄土真宗には、釈尊が相手によって教え方を変えた「方便」という概念から肯定する。禅者でありながら、著者は禅宗が「自力本願」と称するのに反対で、「自力」と言ってしまっては‟自我”を捨てきれていないことになるとする。禅を悟りに至る直接的な手法としつつも、阿弥陀仏を立てて自我を捨てさせる「方便」もまた、一つの道なのだ
仏教はある種の無神論であるが、神の存在を全否定しているわけではない。人間が人生で味わう苦しみは外部の神や悪魔によるものではなく、自身の行い(「業」)に発するものという思想から来ている。だから、著者は一神教との対話も可能だとし、現代に耐えうる仏教「新大乗」を提唱している
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