『妖怪』 司馬遼太郎

今回の衆院選は応仁の乱?


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室町時代、足利義政の代。凋落する京の都へ、第六代将軍足利義教の落胤を称する熊野源四郎は上った。義政の「奥」では正妻の日野富子と側室の今参りの局が権勢を争っており、源四郎は怪しい術の使い手たちによってその渦中へと巻き込まれてしまう。東国で兵法を学んで幻術に対抗しようとする彼だったが、日野富子に嫡男が誕生したことで将軍の継嗣問題が表面化し、複雑怪奇な政情へ翻弄されていく

珍しい、応仁の乱前夜を舞台にした作品である
熊野源四郎は、母が熊野大社の巫女。参拝者の夜伽をすることもあって、息子に六代将軍・義教の落としだねだと吹き込んだ。義教は守護大名を次々に討伐して幕府の中央集権化に失敗した将軍であるともに、現将軍・義政、その継嗣となる義視の父親で、もし本当なら将軍の異母弟ということになる
もちろん、将軍家には相手にされないものの、関係者に利用価値を見出されて食客になったり刺客となったりする
司馬小説に珍しく、源四郎はそうした思惑に対して、逆らえずに流されていく。文字通りの狂言回しである。あくまで室町時代の一人物にとどまり、小さな英雄にすらなれないのだ

司馬小説の王道は、合理が不合理を破って時代の進歩として示すところにあるが、本作はそこから大きく踏み外している
熊野源四郎は都に巣くう「妖怪(=前時代的な価値観、権力闘争)に対抗すべく、東国で生まれた兵法(剣法)を学ぶ。兵法には肉体を合理的に分析し、何が強いか弱いか、生きるか死ぬかを追究する技術であり、その思想には神仏や物の怪を精神の脆弱さが原因であると否定する側面がある
しかし、源四郎はそうした兵法を身につけたにも関わらず、非合理の象徴である唐天子の幻術に流されて、結局はその謀略に利用されてしまう。なぜか
おそらくは応仁の乱前夜で、腐敗した体制が無政府状態へ陥っていく時代背景が関係している。兵法家、足軽(印地)、一向宗などの新興勢力が勃興しつつも、都の「妖怪」の力はいまだ強く、奇々怪々な政治状況を作ってしまうのである
主人公は唐天子に代表される非合理に飲み込まれて、同じく成り上がろうとした腹太夫ともに没落する。源四郎の物語として失敗しているのは、合理が次の秩序を作り出すのではなく、非合理が混沌を呼ぶ時代を題材にしたからなのだろう
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