【DVD】『野獣死すべし』(1980年版)

忘年会後に風邪をひき、さらに寝てるうちに舌を噛んで流血という、多難
年末の予定が完全に狂ったわ


野獣死すべし 角川映画 THE BEST [DVD]
KADOKAWA / 角川書店 (2016-01-29)
売り上げランキング: 23,613


都内で岡田警部補(=青木義郎)が刺殺されて、拳銃が奪われる事案が発生。その銃は警部補が関係するカジノバーの襲撃に使用された。犯人は元通信社で、今は翻訳を手がけながら、クラシックが趣味として悠々自適の生活を送る伊達邦彦(=松田優作)。伊達は次の標的に東洋銀行を定めるが、単独行動では成功は期しがたいと、荒々しい真田敏夫(=鹿賀丈史)を抱き込む。その伊達の後を、捜査一課の柏木(=室田日出男)が追いかける

『蘇る金狼』同じ作家の原作、同じ監督ながら、また一風変わった作品だった
題名にわりに、まず主役の伊達が“野獣”らしくない東大出の高学歴でクラシックが趣味、文学的教養もあると多趣味であり、表面的には現代人的頭でっかちである
元通信社での紛争地の経験と、学生時代に射撃部に属した銃の腕という背景はあるものの、ところどころでインテリ的な知識ひけらかしがあって、あくまで人に飼い馴らされない意味での“野獣”
むしろ、所構わず人を殴る真田のほうが野獣に相応しく、伊達も彼とつるみ、洗脳する過程で自らも本性に目覚めていく
映画の出来としては、展開のスムーズよりは俳優たちの見せ場重視で構成されており、優作の一人芝居は観ているだけで面白い。前野耀子が閉店したクラブで歌うなど、ちょい役でも豪華な場面が多い
頭を動かすよりも、気持ちのままノッて観る作品だ

詳しくしゃべると、ネタバレになってしまうのだが仕方ないと開き直ろう
伊達の“野獣”は、紛争地の経験から生まれた。紛争地の虐殺現場からこの世の真理を感じ取ってしまい、平和な暮らしが嘘としか思えなくなってしまった
ゆえに日本にいても、世の真実である修羅場を求めてしまい、自ら事件を起こしてしまう。一種の精神病なのである
一般の動物は自らが生きるともに、子孫を残そうとあくせくしているのだから、管理人は女を躊躇なく殺す伊達が“野獣”だと認めがたい(笑)
真田にその彼女(=根岸季衣)を殺させようとするところ、伊達にとっての“野獣”とは、「男だけの世界」なのだ
ラストシーンは映画史に残る謎エンドらしいが、あれだけ人を殺して無事に戻れるなんてありえないという、物語の力学が働いたように思える。あそこまでやって死ななきゃ、ただの悪人に終わってしまうだろう


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野獣死すべし (角川文庫 緑 362-24)
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