どうでしたでしょう『真田丸』

毎年、NHKの大河ドラマはだいたい観ていて、特にブログで取り上げることもなかったのだけど、今年は書く気になってしまった
昨年の『花燃ゆ』は論外としても、『軍師勘兵衛』はけっこう気に入っていた。脚本が良ければと思っていたから、歴史好きという三谷幸喜が戦国物をやれば、久々に面白い大河になると思ったのだ
しかし、終わったところの満足度でいうと、『軍師勘兵衛』とどっこいどっこい。というか、最終回で評価が急降下してしまった
「なぜ、こうなった」。その思いが、この記事を書かせるのだ


○主演俳優が40代はまずかったか

『八代将軍吉宗』の西田敏行の例はあれど、あれは別格。終盤にやっと年齢が追いつくというのは辛かった
堺雅人はすでに完成されている役者なので、役がなじむ過程を楽しむという大河ドラマの醍醐味がなかった。主役に合わせて全体が高齢化したのも苦しく、吉田羊の稲姫はさすがにどうかと思った
そもそもその抜擢からして『半沢直樹』の便乗であって、戦国版半沢で一年埋めようというのは安易だったと思う。半沢の不適さを受け継ぐなら、真田信繁より本田正純あたりが似合っている。絶対、受けないだろうけど、観てみたい(笑)
半沢と源二郎の間にあった溝は、ついに埋められなかったように思う


○ホームドラマはそれほど必要だったか

『真田丸』はたんに大坂の陣の真田丸ではなく、真田家という家族を一隻の船に喩えていう触れ込みだった
真田父子のやり取りには、大いに笑わしてもらったが、ホームドラマ要素が足を引っ張るシーンも多かった。例えば、源次郎の姉、松(=木村佳乃)が記憶喪失になる必要はあったのか
於松の方が安土城で人質になった後、本能寺の変をきっかけに行方知れずになる史実を拾ったのはエライけど、あの再会のさせ方には何ら感動を覚えなかった。脚本家のウィークポイントでもあるのだろう
終盤で「真田家同士で戦ってはならない」と表立って言い出すのもおかしかった。ただでさえ大坂方への内通が疑われて、嫌でも身内と戦ってみせなければならない立場なのだ。信之が大阪方へ兵糧を入れることに加担するとか、真田家を背負うものとして行動に疑問が多かった
そもそも大河ドラマに現代的なホームドラマをすること自体が、世界観をぶち壊すご法度のはず。大河ドラマ以外のNHKの時代劇はわりあい時代劇の枠組みのなかで頑張っていると思うのだが


○きりは霧隠才蔵なのか

そういう説がある。だとすると、あの縦横無尽の活躍にも合点はいく(納得いくかはともかく)
松代に移った真田家で、佐助とともに暮らすというラストは、小説『真田太平記』のお江と重なる。くのいちにせず、史実の妻の一人にしたのは、『天地人』ですでにやっていたせいだろうか
こういう浮いたキャラクターは、特殊な背景を持たせたほうが受け入れやすかったと思う
例の口吸いシーンは、初恋の相手がわざわざ待ち続けて決戦前夜に結ばれるという男の妄想を実現したと同時に、おばはんになるまで待たせて男を下げることにもなっていた。いくらでも機会はあったのに、なんで今まで結ばれなかったかというと、この場面を作るためという作為が見えていた


○最終回はどうしてこうなった

関ヶ原とか、信繁が直接関わらないところは割愛する傾向はあったけど、茶々と秀頼の最期とか、千姫を帰しての秘策とか、大きく穴を開けた形で終わってしまった。観ていたときは、スタッフロールの後に15分あるんだと思い込んでいたぐらいだ
ここまで来ると脚本うんぬんというより、急に放送の枠を減らされたのではと勘ぐりたくなる。来年の番宣より、今年の放送をちゃんと終わらせるべきではなかったろうか
『精霊の守り人』とか脇で作って、NHKはリソースを分散させすぎなんじゃないか

話的に納得がいかなかったのは、信繁と家康が対決した場面。その過程があまりに舞台じみていたのは棚におくとしても、「おまえのような、戦にしか能のない人間はもういらない」→「だとしても……」というやりとりはどうだったか
真田信繁はただの武人ではなく、石田三成や大谷刑部と親しくなるような事務方も務まる人間であったというコンセプトで始めたドラマだったはずだ
長丁場でかなりテンパっていたのだろうが……、これはないだろう
最終回でもったいないというと、去年の『Gレコ』と共通するけど、あちらはあくまで畳み方が早くて余韻が足りないというぜいたくなもの。実写とアニメは単純に比較できないが、70代の富野監督は踏ん張ったのである


視聴率は何も言うまい。一番手間をかけている大坂の陣で下がってしまうのだから、追いかけた人間にはよく分からん。いくらなんでも、『お江』よりは面白かったろうに
ただNHKのほうはその視聴率に過敏になりすぎて、おかしくなっている。大手プロダクションや広告代理店の影響が強くなって、『逃げ恥』に真田丸のパロディがあって、今度はガッキーが紅白の審査員に出るとか、局の垣根のないカオスの状態だ。制作会社が共通するせいか、悪い意味で民放に近くなっている
報道の枠に、真田丸の番宣がねじこまれるのにも参った(苦笑)。コンテンツを利用して使い捨てにしようとする前に、まずドラマそのものに受信料を使ってもらいたい


関連記事 『真田太平記 (一) 天魔の夏』
     『精霊の守り人』(小説)
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
カテゴリ
SF (25)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。