『聖の青春』 大崎善生

管理人との共通点は、部屋が積読で溢れているぐらい


聖の青春 (講談社文庫)
大崎 善生
講談社
売り上げランキング: 3,019


幼い頃に腎臓病を患った少年は、療養学校で将棋を覚える。普通の子供のように動き回れない鬱屈を将棋にぶつけ、外へと羽ばたつ翼とした彼は、メキメキ上達。1983年に谷川浩司が最年少名人が話題となり、「打倒谷川」を目指してプロの門を叩く。つきまとう持病の闘いに、師匠はときに少女漫画を探しそのパンツを洗った

今秋に上映されている松山ケンイチ主演の映画の原作小説である
管理人は大学時代、将棋部に属していて、その死には涙したものだ
本作は村山聖の良き評伝であるだけではない。冒頭には、山に連れて行った兄がマムシを投石で殺し、村山の病気が発症する場面から描かれる。周囲の人物の視点から始まっていて、なおかつ劇的な場面なのだ
そうした小説としての鋭さを持ちつつ、様々な人間から見た多声的な構成が本作の特徴であって、身近にいた作者が我を張らずに、ただただ村山聖のピースを拾い集めて作り上げられている
世界でただ一つのユーモラスな師弟関係が取り上げられる一方で、病気の子供を持った家族のやるせなさ、苦しさも描かれていて、村山聖という人間が自然に立ち上がってくるのである

村山聖には、名人位を目前にしてA級在籍中に死去した悲運の棋士というイメージがつきまとう
たしかに悲運には違いないが、本作で強調されるのは村山自身が病気を不運だと思っていなかったということだ
病気と村山は不可分の関係であり、その将棋は長くは生きられないという切迫感によって作られていた。そもそも病気になっていなかったら、将棋に出会っていたかどうかも分からない
阪神大震災で弟弟子の奨励会員が亡くなり、村山は積読の山が崩れて頭に本をぶつけただけで済んだというエピソードは、人の運命について考えざる得ない。ただ、悲運の棋士を描くだけではなく、人が生きていく上で出会ってしまう、不運や幸運、絶望と希望の錯綜が書きつけられているのだ
ヒューマンで温かいともに、人生のなんともいえない巡り合わせを見せられるノンフィクションであり、文学なのである


村山聖名局譜 (プレミアムブックス版)

マイナビ出版 (2016-11-22)
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