『真田太平記 (十二) 雲の峰』 池波正太郎

60歳で現役のお江さん


真田太平記(十二)雲の峰(新潮文庫)
新潮社 (2012-11-02)
売り上げランキング: 10,561


大坂の陣が終わり、徳川による天下が定まった。しかし、将軍・秀忠は関ヶ原の遅参を招いた上田城の屈辱が忘れられず、真田家取り潰しの機会を窺っていた。真田信之の側近して仕えていた馬場彦四朗は、徳川の間諜として潜伏していたが、流浪の旅から舞い戻ったお江に見破られて、真田家を追い出されてしまう。夏の陣から脱走した樋口角兵衛もまた、ふらりと上田城に戻ってくるが……

一番ホットな大坂の陣が終わったものの、物語のテンションは落ちない
歴史の大舞台をメタ的に解説することがなくなって、真田家とお江たちの活動に集中しているので、かえって作者の本領が発揮されているのだ
旗本を夢見て徳川に通じる馬場彦四朗に、家中では碁の好敵手として小川治郎右衛門当主・信之が用意した必殺の作戦は、まさに仕掛人のような切れ味である
真田家最大の危機が去ると、あとは登場人物たちのその後を優しく追っていく
樋口角兵衛に関しては、最後の最後で母・久野から「父親が昌幸でない」ことを明かされる。角兵衛の将来を慮ってついた嘘だったのである
大河の角兵衛はショックで切腹してしまうが、小説ではもはや悪さをする体力も気力も失って普通に家庭を作って死んでいったのであった

最終巻を読み終わったので、シリーズの総括をしよう
何度も記事に書いたことだが、池波正太郎は時代小説の人であって、歴史小説には向いていない。本人の気持ちが市井の、末端の人々に行き届いている反面、政治の上層にいる人間にはかなりクールに見切ってしまう
政治の論理が分かっていても、それをテーマとして書きたくないのだ
だからアウトサイダーである忍の者たちが輝く反面、たとえ豊臣秀頼、淀君、石田三成などをたとえ味方であり主筋であっても、見も蓋もなく描いてしまう
長編も得手ではないのだろう。瞬発的にいい話はあっても、一巻通した筋は見えにくかった。本当は三年ぐらいで終わるつもりだったのが、好評につき9年の連載に伸びたらしく、本人もずいぶん苦しんだのではないだろうか
作者お気に入りの真田信之に関しては、晩年のお家騒動について『錯乱』『獅子』という小説があるそうなので、機会があったら読んでみるつもりだ


前巻 『真田太平記 (十一) 大坂夏の陣』

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