『天の血脈』 第4巻 安彦良和

本当に久々
この時代に婚約者との混浴はありなんか


天の血脈(4) (アフタヌーンコミックス)
講談社 (2014-07-23)
売り上げランキング: 81,393


軍用車両に乗り込んでしまった安積亮は、内田良平から満州のハルが日露戦争で日本側のスパイとして活躍していると聞く。再び満州に行かないかと誘われるが、神戸を過ぎたところで列車から飛び降りて脱出した。そこは偶然にも五色塚古墳があり、突風ともに古代世界へと巻き込まれていく。仲哀天皇の皇子たちは、神功皇后が三韓征伐中に生んだ子供を天皇に立てることを恐れて、凱旋する艦隊を襲おうとしていたのだった

日露戦争は淡々と終結へ向かっていく
安積はあくまで歴史の真実を追究することにこだわり、内田良平の誘いを断る。彼との仮祝言を終えた森谷翠は、幸徳秋水の平民新聞に影響されて、天皇の万世一系を否定社会主義へのめり込んでいた
怒った安積は平民新聞に乗り込むが、逆に彼の師である嬉田が時勢の要求で史実を曲げる政府の犬であると論駁されてしまうのだった
その平民新聞で再会するのが、大杉栄。彼は最初、社会主義に傾倒するが、日露戦争の講和条約に怒った国民が暴動を起こす(日比谷焼打事件)に及んで、無名の大衆たちのパワーに感動して無政府主義(アナーキズム)へと転ずる
この暴力的な大衆に姿を、嬉田の「暗い時代が始まる」という予言に重ね合わせるラストには震えた。当局の弾圧を受ける社会主義や無政府主義に同情的な視線を向けず、軍国主義へと転がる過程として捉えるのだ

ネタバレになるが、嬉田は政府の犬にはならなかった
内田良平の要求に対して、神功皇后の三韓征伐はあくまで百済の救援が目的であって、高句麗や新羅を征服したわけではないと反発。高句麗の好太王とも戦っておらず、実際に軍事衝突があったのは息子である応神天皇のときであり、そのときも百済や新羅を服属させたわけではない
それが誇大に伝えられたのは、好太王が自らの武功を誇るために碑文に刻んだことが始まりであり、これを「真」とすると当時の倭国が朝鮮半島の政治情勢を左右するほどの軍事大国だったことになる
巻末の松本健一との対談で、嬉田のモデルが喜田貞吉と明かされる。喜田は水戸学に始まる南朝正統論に対して、小学生の教科書に南朝・北朝を併記したことから休職に追い込まれたという
この巻末の対談は、主人公が“安積”族=海人の一族の末裔であることの意味など、シリーズに隠された歴史背景を解き明かしてくれるので非常に勉強になる。必読である


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