『ノヴァ』 サミュエル・R・ディレイニー

いっぱい聞けていっぱいしゃべれる……ではなくて


ノヴァ (ハヤカワ文庫SF)
サミュエル・R. ディレイニー
早川書房
売り上げランキング: 612,579


32世紀。人類文明そのものといえる超大国ドレイコに対して、プレアデス連邦は独立し両者の軋轢は頂点に達していた。希少資源イリュリオンを握るドレイコに対して、プレアデスの実力者ローク・フォン・レイは、恒星の爆発からイリュリオンを大量採取しようとクルーを募っていた。そこへジプシーのマウス作家志望のカティンらが乗り込み出航するが、その後をロークの宿敵プリンスルビー・レッドが追っていた

ちょいと、読みにくかった
読みにくい原因は、プレアデス連邦の方言が片言として表現されているためで、そのプレアデス弁の会話が多いせいで、なかなか頭に入ってくれないのだ
訳者のあとがきによると、それは原文の持ち味を損なわないための工夫であり、「作者も途中で煩雑なのに気づいていた」らしい(苦笑)。逐語訳の大事さは分かるものの、タロー(タロットカード)の解釈など、大事な部分が片言で語られるのは、読んでてしんどかった
物語の大筋は、遠い超未来に爆発する恒星の中心に向かってレアメタルを採取するというシンプルな冒険物ながら、作者の分身ともいえる感性のマウスと理屈のカティンの哲学談義に、物語の裏には聖杯伝説が隠されているという。こうした重層的な構造と進化する文明に対する人間への信頼から、作者の最高傑作の呼び声が高いらしいが、管理人的には上手く整理できてなくて無駄に難解になっている気がする

32世紀の超未来では、機械文明の進歩による管理する人間の無責任さ、無気力を解消するために、23世紀の哲学・心理学者アシュトン・クラークの提唱によって、人間にソケットが植え込まれて機械と直につながる神経プラグが開発された
これにより、人間はつながった機械を自らの手足のように使えて、機械文明のなかでの人間性の問題、精神病の大部分が解決したという
地球に住むジプシーたちはそれを拒否し続ける存在ながら、主要人物のマウスはソケットをつけてサイボーグ化(!)しつつも、アナクロの感性を持ち続けるハイブリッドな新人類として好意的に描かれる
『攻殻機動隊』などと比べると、ずいぶんテクノロジーに対して楽観的である
聖杯伝説の関連では、ローク・フォン・レイの怨敵にして最愛の女性であるルビー・レッドを豪快にやっつけてしまったことに違和感が残った。一説によっては、手に入れる聖杯は女性を表すともいう
プレアデスが沈むかドレイコが沈むかという冷戦構造のような二項対立を、一方の勝利によって肩をつけるのは、聖杯伝説にそぐわない。プレアデスはドレイコ=グレートブリテンから独立するアメリカのような存在なので、資源の独占を打ち砕くレボリューションこそが大正義なのかもしれないが
と、引っかかる部分はあるものの、マウスが映像楽器“シリンクス”を駆使して披露するファンタジー、クライマックスの畳み掛け方は爽快だ
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