『真田太平記 (五) 秀頼誕生』 池波正太郎

忍者佐助の誕生


真田太平記(五)秀頼誕生 (新潮文庫)
池波 正太郎
新潮社
売り上げランキング: 9,236


立て続く身内の死、朝鮮出兵の苦戦で秀吉の心身は衰退していった。豊臣家の行く末が危ぶまれるなか、待望の跡継ぎ・秀頼が誕生し安心したのも束の間、関白である甥の秀次とその一族が粛清されてしまう。秀吉の死によって外征は終わったものの、その裏では奉行衆と前線の武将との間に埋められない溝が生まれていたのだった

第5巻は一気に歴史が加速していく。もはや関ヶ原の前段である
自らの起こした「唐入り」身辺の多事多難から秀吉は急速に消耗し、秀頼を得た後も元へ戻ることはなかった。幼い秀頼のもとに石田三成を筆頭とする奉行衆加藤清正・福島正則ら武闘派が対立し、そこへ五大老の一人の徳川家康が介入して政権の主導権を握る
秀吉から後事を託された前田利家との約束で、伏見城から向島の出城へ移るも、利家の死後には手のひらを返すように再び伏見城へ戻り、有力大名との婚姻など傲然と法度を破ってしまう
家康の横暴を止められないのは、家康自身が政権の柱であり、中老や奉行も本気で指弾して天下が崩壊してしまうことを恐れているためとされる。大老のなかに、家康の除いて天下人の器量を持つ人間がいないのだ
本作では二度目の外征「慶長の役」を、大大名を消耗させるための口実と見なしているが、それなら家康が外されていることが解せないところになる
あと、作者お得意の「このことである」のフレーズが頻出するのが気になった(笑)。場所によっては数ページに一度で、どれだけ念押ししたいのであろう

真田家関係での変化は、向井佐平次の息子・佐助が忍者としてデビューしたところ
昌幸の甥である樋口角兵衛が村娘をレイプしようとしたところを投石攻撃で気絶させる戦闘力を持ち、「草の者」の頭領である壺谷又五郎を尾行し別所温泉に先回りするなど、天性ともいえる才能を持つ
又五郎は佐助を一人前の男にしようと、女忍者のおくにを送り込んで五日間、みっちりもっこりとした筆下ろしをさせるのであった(うっ、うらやましい)
佐助に凹まされた角兵衛は、昌幸に疎まれて本家では目が出ないと沼田の信幸の下へ移る。柳生五郎右衛門に弟子入りしていた鈴木右近も、信幸の窮地を救って帰参し、にわかに沼田の分家に豪傑が集まってきた
前田利家の死後に起こった石田三成謀殺の動きに、真田家の忍びともに三成の父や兄の動きも取り上げられ、その居城・佐和山の城下も美しく描かれていた
この石田家と真田家の連携は『真田丸』でもフューチャーされるのではないだろうか


次巻 『真田太平記 (六) 家康東下』
前巻 『真田太平記 (四) 甲賀問答』
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