【DVD】『ストーカー』

中古で探し求めて、ようやく手に入れた。なんだか、CDぐらいの大きさのケースだった


ストーカー 【DVD】
ストーカー 【DVD】
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キングレコード (2015-06-10)
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隕石が落ちたことによってある村は消失し、調査に出た軍隊が全滅した地域があった。以来、そこは「ゾーン」と呼ばれて政府に封鎖されていた。しかし、そこには“隠された宝”、なんでも望みが叶う「部屋」があると言われ、そこへの道先案内人「ストーカー」という職業が生まれた。その一人である“ストーカー”(=アレクサンドル・カイダフスキー)は妻の反対を押し切りつつ、物理学を専攻する“教授”(=ニコライ・グリニコ)“作家”(=アナトリー・ソロニーツィン)を連れて、「ゾーン」への旅に出るが……

原作者が脚本に参加しているわりに、少し方向性の違った作品となっていた
SF要素はほとんどなく、「ゾーン」へも科学的考証はされていない。「ゾーン」に入るまでの第1部は、当局が厳重に警備する検問・巡回を突破する、ささやかなアクションシーンがあるものの、本編である第2部は「乾燥機」「肉挽き機」などの罠が登場しつつもその脅威が映像で見せられることはない。まさに「ゾーン」という魔境へのピクニックなのである
哲学談義がなければ、軍艦島などの廃坑・廃墟を巡るドキュメントのようだ
とはいえ、タルコフスキー独特の映像美が光り、現実社会がモノクロの灰色世界で、「ゾーン」に入るや美麗なカラー映像に切り換わるところなど、魔境で解放されるストーカーたちの心境が大胆に表現されている。あちらこちらに滴る水に、動かぬ戦車、沈む文明の遺品……と廃墟好きなら、三時間近い長尺でも退屈することはないだろう

ストーカー、“教授”、“作家”の「ゾーン」に対するスタンスの違いがポイントとなる
“教授”は科学の担い手だけあって、不可解そのものである「ゾーン」を分析して事実化しようとする。“作家”は分析しきれないはずの現実を分析しようとする不毛を笑いつつ、「ゾーン」に対する恐れを抱かず先頭を突っ走る
ときに、ストーカーは“作家”の暴走を怒るが、あえて先頭を切らせたりもする。新しい事態に対して、最初に反応するのは“作家”の感性だからだろうか
しかし、何でも望みが叶う「部屋」に対しては、“作家”は入室を拒む。ストーカー「ヤマアラシ」のエピソードから、「部屋」で叶う望みとはその人間の「無意識」に過ぎないと看破したからだ。絶えず自らの「無意識」と向き合ってきた“作家”からすれば、そんな望みほど無意味なものはない。「自分の腐肉など見たくもないし、人に見せたくもない」
“教授”は得体の知れない「部屋」を、世人が騒いではためにならないと爆弾で吹き飛ばそうとする。人間の理性では推し量れないものを無くしてしまおうという態度は、「ゾーン」に対する最終的な結論といっていいだろう

それに対して「ゾーン」を崇拝するストーカーは、力づくで阻止しようとする。ストーカーは実社会では無力な「ろくでなし」だが、「ゾーン」の世界では案内人としての腕を振るえる。「部屋」ではなく、「ゾーン」そのものがアイデンティティを与えてくれる無償の存在なのだ
ストーカーの想いに、“教授”も「分からなくなった」と爆弾を解体してしまう。そして、「部屋」の前にへたりこんだ三人に慰安とも思える時が流れる
「ゾーン」という大自然そのものが、退屈な近代社会から解放してくれる聖地なのである。どんな人間の行いも大地が飲み込んでしまう。三者の構図といい、なんだかロシア文学の伝統を感じるところだ
ラストにストーカーの帰還を受け入れた夫人の長い独白があって、監督が言いたかったことが正面から語られる。「苦しみなくして、幸せも希望もあるだろうか」
歩けない娘が不気味なサイコネキシスを発揮する締めは、希望とそれを上回る不安を感じさせて、原作の味も健在である


関連記事 『ストーカー』(原作小説)
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