『傭兵の誇り』 高部正樹

最強を目指す男(当時)


傭兵の誇り―日本人兵士の実録体験記
高部 正樹
小学館
売り上げランキング: 349,271


現在の傭兵はどんなつもりで戦っているのか。元航空自衛隊の日本人傭兵が、実際の戦場を語る
著者の人柄のおかげで、かなり香ばしい本になっていた(苦笑)
いわゆる“戦争の犬”、金で雇われる傭兵たちは、第三国の民間人からすると「殺しの仕事をしている」「なぜ外国へ戦争しに出かけるか」と思われがちだ。しかし、実際の傭兵とは、自らの戦闘技術を提供する者であり、殺人が任務に伴うことがあっても、あくまで作戦目的を達成するためのものであってサイコパスではない
本書では著者が体験した戦場、80年代のアフガニスタン、90年代のボスニア紛争、ミャンマーにおけるカレン民族解放軍における傭兵たちが取り上げられている。戦場でのストイックさと無駄のない行動力、そしてオフでの弾け方はどこかチームスポーツの選手のように見えてくる
と、傭兵のマイナスイメージを払拭するための本書なのだが、その点あまり上手く行っていない。著者は戦う男こそ、最強である」という信念のもと、傭兵になったという人であり、口ばかりのジャーナリストに対して敵愾心をむき出しにする。それはいいとしても、安全地帯でふぬけた生活を送る人間ども(日本人のことである)より、傭兵の人生のほうが遙に上等であると言い切ってしまう。そんな傲岸な態度では、傭兵に対するイメージが悪くなるだけではなかろうか
しかし、現在の著者は軌道修正したようで、2007年に傭兵を引退しタイ・ミャンマー情勢の専門家として、カレン民族独立運動を応援する立場をとっているようだ

傭兵というと金のために危険を冒すイメージだが、著者が体験した傭兵稼業はきわめて薄給だった。外国で日本とは物価が違うことを加味しても学生のバイトレベルであり、「飲む・打つ・買う」をしようにもそんなお金なんてない
意外に傭兵たちにギャンブルに励む人間は少なく、「飲む」が精一杯だ。ただ、後方では外国人好きの女性にモテる傾向はあったそうだ
お金も名誉にもならないので、なぜ男たちは傭兵になるのか。著者に言わせると「傭兵そのものに価値がある」ということになるが、軍隊に入っても戦闘訓練を積んでも実際にその技術を振るう機会はなく、フリーの傭兵であれば戦場に立つ機会に恵まれることにあるようだ
欧米の傭兵には人生のなかの「冒険」として捉える者が多く、日本人の場合にはカレン独立運動に協力する民族派のように大義名分を重視する者が多いという。自らを鍛えるために戦場に身をおくという著者はやはり、変り種である
ただし、本書で語られた傭兵像はあくまで著者の体験から来るもの。アメリカの民間軍事会社アフリカで猛威を振るった傭兵集団は、違った顔を持っていることだろう


関連記事 『戦争の犬たち』
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
カテゴリ
SF (25)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。