『レッド』 第8巻 山本直樹

伊吹の死でいったん、『レッド』は完結。『レッド 最後の60日間 そしてあさま山荘へ』へ続く(現在も連載中)


レッド(8)<完> (KCデラックス イブニング)
山本 直樹
講談社 (2014-02-21)
売り上げランキング: 61,005


ついに恐怖の総括が始まった
きっかけは、黒部一郎(=加藤能敬)薬師(=小嶋和子)に性行為を働いたこと。赤城(=永田洋子)「神聖な『我々』の場を汚した!」とし、痴漢行為として問題視する。しかし、それを許した薬師にも隙があるとして、彼女の過去の振る舞いも「総括」の対象となる
北(=森恒夫)は「総括」の問題が進まないことから、「殴打」による総括を言い出した。気絶した後に目を覚ますと生まれ変わったような気になれたという剣道の経験から、気絶=共産主義化」という新しい基準を唱える
赤城は森の迫力に押され「革命者同盟は下から革命で甘かった。赤色軍の上からの革命を学ぶ必要がある」として、その手法を認めてしまうのだった
北は伊吹逸郎(=尾崎充雄)に対しても、交番から銃器を奪取する作戦(第1巻)へ参加せず赤石(=柴野春彦)を死なせたとして「総括」を要求。谷川(=坂口弘)との格闘戦を強要され、その後も度重なる体罰から力尽きる。北はその死を「敗北死であって、指導部の責任ではないと言い切ってしまう

描かれる「総括」の現場は、けっして陰惨ではない
殴るほうも気合いを入れるため、同志を革命戦士の道に立ち返らせ「共産主義化」するために殴っているので、まったく悪気があるわけではないのだ。むしろ、体育会系の熱気に溢れて、参加者は良心の呵責ともに感動をも味わっている
谷川との格闘戦が終わったとき、森は伊吹に「よくやった」と声をかけて伊吹も「オヤジ……」と感涙する場面すらあるのだ(直後に赤城が「甘い」と横槍を入れるが)
第6巻の対談でも触れられていたが、自分が正しいという善の思想に拠っているからこそ、自分を疑えない。どさくさに私怨をぶつける者もいるが、それが露骨なものは、後に総括の対象となる
とはいえ、思ったように「総括」の成果が上がらないと、善意に答えられない相手に怨み百倍と森のやり方もエスカレートしていく。柱に縛る、逆さエビに縛り、腹への殴打……「総括」が死を呼ぶ原因は、人間の肉体に対する認識の甘さがある。せめて殴打のあとの治療や食事が認められていたら、犠牲者は減らせたのではないか

森の鉄拳による「総括」が進んだことで、赤色連合は急速に赤色軍(赤軍派)側へ傾いていった
森は女性たちに対して、「女性革命家」ではなく「革命家の女」になれと言う。セクシャルを無くせというより、男性化を促すものであり、男女平等の理想からはかけ離れたものだった
赤城も森との意識のズレを感じつつも、「警察との殲滅戦」に備えて皆を革命戦士にするという強迫観念から、森の論理に逆らえない。体罰を疑問視するメンバーに対しても、「だったら他に方法があるの?」と突き返し、返されたメンバーもそれに何も言い返せない
赤色軍(赤軍派)は東大・京大ばりの頭脳がないと入れないといわれるインテリ集団であり、同好会的な革命者同盟(革命左派)とは理論武装のレベルが違う。赤城や谷川たちは、洗練された革命理論(部外者からは屁理屈だが)と体育会的圧力を合わせ持つ森の勢いに逆らえず、流されていったようだ


前巻 『レッド』 第7巻
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