『レッド』 第6巻 山本直樹

キャンプには両組織の主導権争いが


レッド(6) (KCデラックス イブニング)
山本 直樹
講談社 (2012-02-23)
売り上げランキング: 89,387


「赤色同盟」は合同の実を挙げるべく、山岳キャンプへと向かう
栗駒(=瀬木政児)の逮捕により、会津若松での殲滅戦(交番襲撃)を中止。既存の丹沢ベースからの移転を余儀なくされ、南アルプスへ山岳調査に乗り出さねばならなくなる
合同軍事訓練は決まったものの「革命者同盟」と「赤色軍」の溝は深く、赤城(=永田洋子)と北(=森恒夫)は互いに組織の面目をかけて論争を繰り返す
登山に水筒を忘れた同盟側に対し、赤色軍側は「山にいた癖に山の怖さを分かっていない」とネチネチと批判。キレた赤城も、赤色軍の不祥事を指摘して自己批判を求めていく
都市のアジトで革命者同盟の筑波八重子(=川島陽子)と黒部一郎(=加藤能敬)らが逮捕され、組織が山への孤立を深めるなか、クラブ活動的な雰囲気は消え失せて、揚げ足を取り合う陰湿な空気が漂い始めた

革命への手法、意識・由来の違うメンバーが集まる「赤色同盟」は、武装蜂起に備えて軍隊色が深まるなか、些細なことで軋轢が生まれてしまう
脱走願望を告白する薬師(=小嶋和子)には見張りがつき、谷川(=坂口弘)は日々の仕事に没頭して雑念を振り払うように喝を入れる
「赤色軍」に主導権を握られたくない赤城岩木(=植垣康博)の痴漢問題に引き続き、ロングヘアに化粧を欠かさない天城(=遠山美枝子)の態度を問題にする。指輪をはめていることから既存社会との絆を断ち切れていないとして、革命戦士としての覚悟ができていないというのだ
この指輪問題赤色軍のリーダー・北は「天城の自己批判が終わるまで山を降りない」と宣言し、同盟側が脱走者を二人処刑してことから、赤色軍も「山を降りる者は殺すとまで言い切るのだった
天城をはじめ、番号のひと桁のメンバーは、当時でいうプチブル的な趣味(今からすれば、ほんのささやかな贅沢…)を好んでいた。そういう余裕、学生的ゆとりを許さない空気が追い詰められた組織を支配していったのだ

巻末には赤色軍のキム(=金廣志)と山本直樹との架空対談が掲載されている。現在はカリスマ塾講師というキムだが、覚悟の顔出し出演である
キムは高校で学生運動をはじめ、新聞部員として反米デモの取材へ行った。当時は角材を持つデモ隊と機動隊の衝突に対して、野次馬は学生へ同情的だったという
その後、高校生の運動には限界があると悟ったキムは、「京都に本気で革命を考えているグループがある」ともって家出し、「赤色軍」へ合流する。対談では、合法活動を受け持つ「公然部隊」地下に潜る「中央軍兵士」に分かれる、「赤色軍」の活動が赤裸々に語られる
北(=森恒夫)新兵の覚悟を試すためにひったくりをさせたり(作中に仲間をサンドバックに使う描写がある)と粗暴な側面があるものの、キムからすると同じ赤色軍のリーダー石鎚(=塩見卓也)よりは親しみやすく、「オヤジさん」と呼ばれていた
キムは北に迫られたひったくり未遂から窃盗犯として警察に追われ、同志からは山岳キャンプへ行きと止められた。もし、山岳キャンプへと参加していたら……
キムは、もし総括の場面にいても、止めることはできなかったろうという。「誰だってあの場面は総括を逃れることはできなかった」とまで言う。その理由は「良かれと思ってやっているから善の思想がベースにあるからこそ、逃げ道がないという
ちなみに、天城(=遠山美枝子)学生出身者からは「おばさん」扱いされていて、美人とは見なされなかったという。赤城(=永田洋子)との対立を「ブスが美人へ嫉妬した」という大衆受けしやすい構図に持っていくために、美人という神話が作り出されたようだ


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