『砂漠の惑星』 スタニスワフ・レム

ル・グウィンが「レムの小説は女性性を欠いている」と言っていたが


砂漠の惑星 (ハヤカワ文庫 SF1566)
スタニスワフ レム
早川書房
売り上げランキング: 43,192


宇宙船「無敵号」は、琴座星系のレギス第三惑星に着陸した。消息を断った同型艦「コンドル号」を捜索するためだ。地球に近い環境を持つこの星は、なぜか海にしか生命が存在しなかった。探検隊の隊長として謎の黒い金属の柱群に向かっていたロハンは、発見されたコンドル号にも立ち寄る。ほぼ以前の姿を留めた同船では、船員たちが謎の餓死を遂げていた。いったい、彼らに何が襲ったのか

完成され過ぎた作品だった
遭難した宇宙船を捜索し、謎の金属の“森”に出くわして、探していた船員たちは謎の怪死体となっている。映画『エイリアン』を思わせるような、コズミック・ホラーの王道を行く展開である
「無敵号」にも最初の犠牲者が出て、事件の真相が明らかになっていく。専門家の討論で犯人の正体が推定されていくが、彼らの犠牲によって証明されるのがなんともシュールだ
中盤まで盛り上がっていくドンパチも人間側にとって不毛の結果に終わる。絶望の色が濃くなるも、ラストに発想を転換することでようやく夜明けがやってくる構成は完璧だ
ただし、専門家たちが都合よく、ストライクな仮説を立てるとか、大量破壊兵器を使った隊長ホルパフがロハンの辿りついた結論に先回りしているとか、わざわざドラマ性を薄くしているのが謎。完成度が高過ぎて、読者の想像力が働かせにくい作品なのである

激しくネタバレになってしまうが、「コンドル号」に襲いかかったのは、蝿にも喩えられる極小の機械生命体である
“やつら”は大群であるだけでなく、相手によって対応手段を変えて脅威を排除しようとする。専門家の分析によれば、最初に陸地の生物との戦い、次に自動化された機械同士の戦いに勝利した存在なのだ
「無敵号」は最強の自動戦車キュクロペスを送り出すが、群れを四散することで反物質砲の威力を逃れつつ、戦車の人工知能を狂わせるほどの磁気を浴びせて狂わせてしまう
コンドル号の乗員に対しても脳に型破りの磁気を浴びせることで、幼児退行させたのだった
レギス第三惑星の砂漠は、機械が究極まで進化したゆえにもたらされた不毛であり、そこにはその本来の使用者だった人間すら生存できない蝿の群れから降る黒い雨は原爆を連想させ、ここが核実験場といわんばかりだ
その一方で砂漠を作る原因は、理解できない存在を敵と見なし排除しようとする人間側にもあり、終盤のロハンたちが取ったような機械同士の不毛な戦いに踏み込まない戦略もとりうるのだ
機械文明の未来を悲観しつつ、人間の柔軟性に希望を託すSFの王道を行く作品といえよう
……と、らしいことを書いているが、上遠野浩平の対話式解説の、半ば受け入りである(苦笑)。感じたことをだいたい形にして書かれてしまっていて参ったがな
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