『ナインスゲート』 ペレス・レベルテ

映画と小説では一味違う


ナインスゲート (集英社文庫)
アルトゥーロ ペレス・レベルテ
集英社
売り上げランキング: 358,292


デュマの古書を集める出版社のオーナー、エンリケ・タイリフェルが謎の自殺を遂げた。古本狩猟家のルーカス・コルソは、謎めいた収集家バル・ボルハから『九つの扉』の探索を命じられる一方、コルソの友人の書籍販売業者ラ・ポンテは、自殺したオーナーからデュマの肉筆原稿の調査を依頼されていた。『九つの扉』の一冊と『アンジューの葡萄酒』の原稿を手にしたことから、コルソは顔に傷が持つ“ロシュフォール”に襲われ、訪ねる先々で謎の殺人事件が起きる

壮大な衒学趣味のミステリー小説だった(笑)
先にジョニー・デップ主演の映画を観ていたせいで、アレクサンドル・デュマに関する膨大な薀蓄が投入されることに唖然とした。最初の邦題は『呪いのデュマ倶楽部』で、映画の公開に合わせて『ナインズゲート』に変更されていたのだ
映画はオカルト・ホラーだったが、小説は『三銃士』を現代パロディ化した登場人物と場面に、悪魔召喚の書『影の王国への九つの扉』と謎の殺人事件が絡むという複雑な展開を辿る。ただ、デュマと悪魔崇拝がどう関わるかと構えていると、オチは肩透かし(苦笑)
深遠なテーマ性よりも、悪魔的な強さの女子が登場するなど、読者の意表を突くのに専念したエンターテイメントであり、デュマの精神を引き継ぐ作品といえよう

作者のアルトゥーロ・ペレス・レベルテはスペインの国際ジャーナリストで、紛争地や密輸問題に携わりつつも、作品では芸術や歴史の知識を動員したミステリーを書いている
本作も原題は『EL CLUB DUMAS』で、いちおうデュマ要素がメイン。主人公コルソも『三銃士』をなぞったかのような筋書きに、自らもフィクションの立ち位置を意識して謎の挑むなど、物語に没入する読者をなぞらえたようなメタフィクションも散りばめられている
その一方で、『影の王国への九つの扉』について、9枚の版画と三冊分のバリエーション、計27枚の版画がわざわざ挿絵として用意され、読者に間違い探しゲームをさせるなど力が入っていて、オカルト要素も隠し味を超えた存在感を持つ
オチは「あらっ」という感じだが(笑)、小説愛好家のこだわりと悪魔崇拝者の執念は似通っているということなのかもしれない


ナインスゲート ―デジタル・レストア・バージョン― [Blu-ray]
角川書店 (2011-06-24)
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