『民主主義が一度もなかった国・日本』 宮台真司 福山哲郎

自民党が二度と蘇らないと宣告されていたが


民主主義が一度もなかった国・日本 (幻冬舎新書)
宮台 真司 福山 哲郎
幻冬舎
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民主党への政権交代を記念しての社会学者・宮台真司と民主党議員の対談本
「民主主義が一度もなかった」というのは、あまりに順風の時代が続いたので、国民が自分で意思決定する必要がなかったという意味合い。経済の低迷が続くと、利益誘導の政治をやってられないから、何に配分するかの議論を「丸投げ」すると、格差が生じ社会が荒れてしまう。国民の政治参加が不可欠になるのだ
対談相手の福山哲郎議員は、元証券マンで松下政経塾出身で、1998年に参議院京都選挙区で初当選。2009年9月に鳩山内閣の外務副大臣に任命され、本書の対談はこの頃に行われている。2010年6月には菅内閣の官房副長官に就任し、政権中枢にかかわった
民主党を記念しての対談で、宮台氏は自民党をゾンビとしてボロンチョに言うものの、民主党を礼賛するほどでもない。政権交代をあらゆる変革の好機として捉え、鳩山政権の動きからプラスの要素を抽出しようという姿勢だ
専門用語を並べる宮台氏に対し、福山議員が平易な言葉で受け答えするので、『日本の難点』より頭に入りやすい

とかく叩かれがちな鳩山政権だが、成立直後の本書ではその発言を評価されている
二酸化炭素25%削減については、第一次オバマ政権が再生可能エネルギー主体の社会を目指すグリーン・ニューディールに続くもので、国連の演説でも歓迎の拍手を受けたとしている
しかし、新聞などのマスコミは批判的に報じ、テレビでも家計を圧迫するとありえない将来予測がまかり通ったという
とりあえず、ハードルをもうけて技術革新に期待するという発想は、小泉元首相の反原発論に近いか
東アジア共同体に関しては、EUのような理念先行では無理でも、経済という事実の積み重ねからは可能ではないかとする。宮台氏は岡倉天心の亜細亜主義を引いて、強者に立ち向かう弱者の連合という、ゆるい枠組みまで視野に入れる。あまり、アジアの定義にこだわると、排他性を生むジレンマがある
こうした提言は、鳩山首相の発言を好意的に解釈して、現実的な方向性に誘導した感があり、その後の政権の顛末を考えると、どこまで政権のなかに具体像があったかは疑問である(笑)
「普天間基地移転問題」に対しては、外交と憲法の問題に「事情変更の原則」は適用されないと民主党政権に釘を差す。先約があった以上、アメリカに「お願い」する問題なのだ

本書でボロクソに叩かれた自民党の問題とはなんだろう
土建行政で国土を破壊した経世会路線は論外として、小泉改革「市場主義」を導入しながら、機会の平等(同じスタートライン)に配慮しないために、貧困の固定化を招いてしまった。こうした「市場主義」と「権威主義」の組み合わせは、途上国にしか存在しない
宮台氏は宗教社会のない日本には、「市場主義」は無理として、既得権を排した「談合主義」(コーポラティズム)を勧める
ただし、経済がグローバル化する中であって、ある程度の市場主義は避けられず、流動性の高まりをフォローするべく「大きな政府」が求められる
今の安倍自民党は、「市場主義」を是正する方向ではあるけれど、「参加主義」かというと……。日本は階級がない社会なせいか、エリートが庶民に媚びを売り、マスコミもハードルを下げた報道ばかりで上下に緊張感がない


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