【DVD】『HERO』

大風! 大風!


英雄 ~HERO~ スペシャルエディション [DVD]
レントラックジャパン (2004-01-23)
売り上げランキング: 12,173


中国の戦国時代末期。大陸統一に燃える秦王(=チェン・タオミン)は、残る国々から送られる刺客を警戒していた。そんな中、趙の国が誇る三人の刺客を葬ったという無名(=ジェット・リー)が秦王に謁見を許された。秦王は、無名から長空(=ドニー・イェン)、残剣(=トニー・レオン)、飛雪(=マギー・チャン)を倒した話を聞くうちに、違和感を覚えるが……

色鮮やかな映画だった
アクションシーンは、登場人物がワイヤーで飛びまくり、竜巻のように切りかかったり、水上で飛びはねるなど、気功リアリティ(?)に度肝を抜かれる。水滴をお互いの剣で跳ね返して卓球をするとか、シリアスなのにユーモアたっぷりである(笑)
動きは速いのに、ゆったりした無駄のあるモーションをとるのは、演武の伝統に乗っ取ったものなのだろう
その一方で、主人公・無名が語る話から、秦王の推測を再現した場面が入り、そこへさらに無名が本当の話に切り返すなど、ミステリーを意識した構成がなされている
ただ無理矢理1時間39分にまとめたせいなのか、大穴も多い。秘孔を突けば剣に刺されても仮死状態で済むという理屈がありとしても、罪人の死体を秦軍に引き渡さないで済む理由が分からない。そもそも首級」という言葉が、秦国において相手の首を取ると階級がひとつ上がることから来ているので、首実検的なものがあるはずなのだ
とはいえ、そんな「こまけえことはいいんだよ」というほど、画面の風景は美しく、秦軍の騎馬隊の黒、歩兵隊の赤と黒、趙国の塾での赤、回想シーンでの緑と、場面ごとの色が統一されている
白眉は飛雪と如月(=チャン・ツィイー)が決闘する場面だろうか。戦っている間は黄色い落ち葉が、終わると同時に赤くなる。そうした映像美を惚れ惚れと眺める映画なのである

始皇帝中国大陸を最初に統一した人物として、中共政権では高く評価されたきた。毛沢東が自らと比較して猛烈にプッシュし、法家と儒家の論争に利用された
映画では、趙の国が「剣」という文字ひとつに19の字体があることに呆れ、全て潰して秦国のものに統一してやると息巻く。効率性と中央集権の権化のような存在である
そんな秦の統一事業に対し、趙の剣士たちは抵抗するわけだが、中でも残剣だけは違う立場をとる。趙の象徴は「文字」であり、「剣」ではなく「文字」において矜持を守ろうとするのだ
始皇帝=共産党とすると、残剣の在り方がチャン・イーモウ自身の姿勢にも見える。趙の人間である彼が、やすやすと「秦王が大陸を統一すれば戦いがなくなる」という大義に身を委ねるのは不自然なのだが、「テロリズム=剣」ではなく「文字=映像表現」で対処するという意味合いでは分かる
無名の真意を自ら悟らせるのは、始皇帝がそれだけナーバスになる立場の偉人だからであり、体制の「大風!」に飲まれてしまうラストはせめてもの抵抗なのかもしれない
中国で歴史大作を撮るにも、いろいろ大変なのである
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
カテゴリ
SF (22)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。