『信長と家康 清須同盟の実体』 谷口克広

姉川の徳川勢の活躍は幕府補正


信長と家康―清須同盟の実体 (学研新書)
谷口 克広
学研パブリッシング
売り上げランキング: 479,836


戦国の世に20年もの同盟が続いたのは、なぜなのか。史料を冷静に読み解いて、信長と家康の関係を追究する
最近読んだ信長関連の書籍より、地味な内容だった。通説を覆して大胆な仮説を立てるのではなく、最新の研究を比較して妥当なラインを浮かび上がらせることに専念しているのだ
信長と家康に直接関わらないことは割愛すると断りつつも、それぞれが関わる重大事件に触れて行くので、自然と語られる範囲が広がり、そのまま戦国時代の通史のごとし(笑)。そうした中で、足利義昭が信長との対決を決意するのは、信玄の西上を信じた時点であり、それまでは信長包囲網の主宰者とはいえないとか、意外な分析も明らかにされる
家康関係の史料は、『三河日記』など同時代の人間の証言からして、創始者としての神格化を免れていないものが多い。著者は信長側の史料などと照らし合わせながら、権現補正を剥がして行く
そこに現れる信長と家康の姿は地味だったりするのだけど、シビアに利害を計算した上で何度も破綻の危機を乗り越えた稀有の同盟関係なのである

そもそも清須同盟という言葉自体が怪しいという。家康が清須城に出向いたという根拠がどこにもないというのだ
桶狭間の戦いの直後に、家康が今川家から離反したわけではなかった。母親の実家である水野家を攻め、まず西三河の制圧に乗り出していた
清須同盟の成立に関しては、この水野家当主の信元がキーマンとなる。知多半島を支配する水野家は本来、今川方だったが、信元の代に織田方に転じていた。水野家は三河と尾張の国境に位置し、信元が家康の叔父であることから独自の地位を築いていたのだ
水野信元は信長の主要な戦いに参陣する一方、武田信玄の侵攻に際しても織田方の援軍として出陣している。ただし、その所領のわりに少ない兵数であり、著者は信長から目付け役として派遣されたと考えられる。
ただし、水野信元は長篠の戦いの後に、武田家への内通を疑われて、家康に岡崎城へ呼び出され誅殺されてしまう。問責に来た織田家の使者が水野家家老によって叩き斬られる不祥事のせいだが、その問責は佐久間信盛の讒言からという。この水野事件が荒木村重の疑念と謀反を招き、佐久間信盛自身の失脚につながって、織田家に不協和音を生む源となる

清須同盟は最初は対今川家、今川家滅亡の後は対武田家との戦いに大きく機能した
長篠の戦いの直前、武田勝頼が高天神城を攻めた際に、信長は家康に援軍を求められたが、信長らしからぬ鈍い対応で高天神城は開城してしまう。このとき信長はただ救援に行くだけでなく、勝頼の主力軍団を捕捉、殲滅を狙っていた
長篠の戦いはそのリベンジであり、勝頼は高天神城の前例から信長の戦意を侮っていたようだ
武田攻めに関しては、家康による穴山梅雪の調略が大きくものを言った。『真田丸』で榎木孝明が演じる穴山梅雪は武田家で最有力ともいえる一門衆であり、その背信によって武田勝頼は信濃救援を諦めざるえなくなり、その軍勢は四散し敗北を決定づけた
家康は穴山の本領安堵を請負、もし信長に反故されたなら、自領から補填するとまで約束した。実際、その約束が実行できたかはともかく、穴山梅雪は武田家滅亡後にその名跡の継承と甲斐河内領と駿府江尻領が安堵された
信長が朝廷から天下人扱いされたことから、家康はその臣下として扱われ、旧武田領の分配は「駿府を拝領する」という形式となる。しかし安土城では信長自ら配膳を据えるなど臣下としては破格の待遇を受けており、織田政権の内部では一門衆に相当する地位に扱われたのだ
信康の切腹事件に関しては、信康自身の謀反で家康が手を下したとし、信長の命令という説を否定する。本当の信頼関係がなければ、安土城でこのような待遇を受けられないだろう
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
カテゴリ
SF (25)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。