『死の迷路』 フィリップ・K・ディック

精緻な世界観をオチで潰す!


死の迷路 (創元推理文庫)
フィリップ・K. ディック
東京創元社
売り上げランキング: 529,125


何の目的も知らされずに、男女14人惑星デルマク・Oに送り込まれた。片道切符の揚陸艇で到着した彼らは、居住地で指令の通信を受けるが、メッセージが途中で終わってしまう。我々はいったい何のために送られたのか。この星から出ることはできるのか。謎めいた生き物や建物に遭遇した彼らは、次々とメンバーを殺されて……

ディックらしいトリッキーな作品だった(苦笑)
登場人物たちが送られた惑星には、人間の持ち込んだ物をコピーする生命体“テンチ”が存在するなど、いつもの本物と模造品がテーマとなるかと思いきや、終盤で大ドン返し!
「何か現実で何が虚構かって、小説だからフィクションに決まっているだろ!」という作者の哄笑が聞こえてくるかのようだ
惑星での彼らはそれぞれが専門家であるものの、自分の世界に閉じこもり勝手に振舞うがゆえに集団行動が取れない。孤立した個人が次々に死んでいく様は、何か現代社会を批評するかのようではある
しかしオチがオチだけに、何か中途で放棄されたかのようなモヤモヤは残ってしまった
序文にネタ元が晒されているのは、上手く行かなかったゆえの開き直りなのかもしれない。ぶっ飛んだ展開を純粋に楽しむ作品である

訳者による解説がふるっていた
作品のオチに怒ったのか(笑)、ディックの作品が受ける理由皮肉たっぷりに書きだしている。いわく、社会的にダメな登場人物を出しつつ、アウトサイダーだからこそ「世界の真理」に辿りつけるという筋で、「ダメな人間でもエラい」という結論へ持っていく
ダメ人間がダメさゆえに成功する展開が、SFファンを慰めているというのだ
管理人からすると、それはかなり穿った見方のように思える。ディックの作品を読んでも、ダメな登場人物にそれほど共感を持ったことはない。それほどダメである(笑)
ディック自身がジャンキーであっただけに愛敬を持たせているものの、「ダメなものはダメだよな」とある程度突き放しているように思われる。でなきゃ、読めたものじゃないだろう
どんな本でも「この内容を知っている人間は知ってない人間よりエラい」と思わせる毒はあるのであって、ディック作品だけが非難されるものではない
本作の登場人物のダメさも、普通の人間がある程度抱えているダメさであり、彼らの醜態は他人事ではない。オチも暇を明かしてスマフォをいじる現代人に通底するもので、PS4と『Fallout4』の購入が待ち遠しい管理人にもグサりときた
富野監督は「ゲームは麻薬に近いもの」と喝破したが、本作はゲームジャンキーの実存を予見していたかのようだ


(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
カテゴリ
SF (25)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。