『米中開戦』 第3巻・第4巻 トム・クランシー マーク・グリーニー

アメリカらしい解決法


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ジャック・ジュニアはハッカー集団を追って、香港のCIA工作員アダム・ヤオと合流。天才ハッカー査殊海を追い詰め、国防省特殊部隊と香港マフィアの銃撃戦を乗り越えて捕えるが、アメリカで人民解放軍の特殊部隊に査を殺されてしまう。大統領ジャック・シニアは台湾に米軍パイロットを密かに送り込むも、中国側はついにサイバー攻撃で報復し、アメリカ軍を大混乱に陥れるのだった

中国の南シナ海進出を題材にしたシリーズの後半である
ジャック・ジュニアらの活躍によって香港のサイバー軍団は広州への移転を余儀なくされたが、中国のサイバー作戦はここからが本番。単にアメリカ軍の軍事衛星を無力化しハイテク兵器の精度を奪うのみならず、銃後の領域へも迫る
原子力発電所の冷却水までコントロールし原子炉の暴走を誘い、ウォール街の証券取引所を取引停止に追い込む。しかもサイバー攻撃は直接の証拠が残らないから、国として反撃することもできない
その証拠を掴むべく秘密チーム「ザ・キャンパス」が動きまわるわけだが、サイバー攻撃の脅威ハイテク社会がそれに対して脆弱なことを本シリーズは啓蒙してくれる
小説ではサイバー軍団の拠点が都合よく一か所に集中していて、爆弾で吹き飛ばすというアメリカらしい一発逆転が決まるものの、実際にどう対処するかフィクションのなかでも見えてこないから恐ろしい

後半は当然ながら、一方的に弄ばれていたアメリカ側の反撃が始まる
アメリカ大統領ジャック・ライアン・シニアは、「アメリカに脅威を与える国の指導者を許さない=抹殺する」というライアン・ドクトリンを掲げる。ただし、今回は中国側と公式的には戦争になっていないので、簡単には動けない
しかしサイバー攻撃の拠点が広州にあると判明するや、迅速な作戦を指示した。なんと海兵隊戦闘機、F-18ホーネットによる本土空爆である!
通常兵器だけに限れば先制攻撃であり、そのまま全面戦争になりかねない選択だ
作者が国防長官に語らせるのは、「サイバー攻撃で原子力発電所を誤動作させることは、核爆弾を投下するに等しい」ということ。攻撃方法ではなく、その結果とリスクで判断すれば、本土攻撃も妥当というわけだ
何やらブッショ・ドクトリンを彷彿とさせる行動基準だが、これが小説で示されるサイバー戦を交えた現代戦の想定なのだ。冷戦が終わり核ミサイルが向き合う時代が終わったと思いきや、一皮むくとこういう恐ろしい可能性があるのである
中国が南シナ海で強引な作戦をとる動機として、経済低迷に中国共産党への求心力の低下とか、その想定にはフィクションとして可能性の薄いラインを持ってきて、民主化を求める過激な若者がアメリカの工作に協力するとかご都合もあるものの(公然と外国の暗殺作戦に乗るだろうか?)、サイバー戦争については迫真性が高かった


前巻 『米中開戦』 第1巻・第2巻
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