『レッド』 第3巻 山本直樹

ついに「山」へ入る


レッド 1969~1972(3) (イブニングコミックス)
講談社 (2012-11-05)
売り上げランキング: 12,887


革命者同盟は中国への亡命から、」を拠点としたゲリラ闘争に路線変更する。赤城たちは東京都奥多摩山中に集結し、機関紙を発行していた合法部の者たちも山岳キャンプに呼び込んで行く
しかし、「山」に集まった同盟メンバーはそれぞれモチベーションも境遇も違い、早くも脱走者が出てしまう
赤色軍は同盟側から猟銃の提供を受けて、資金調達のG作戦(実際はM作戦と呼ばれていた)とダイナマイトによる機動隊への爆破作戦を展開する。岩木(=植垣康博)もG作戦の一環として、小学校教師の同志と手を組み、教師の給料強奪に参加した
とはいえ、赤色軍は過激な闘争から警察に追い詰められ、次々にメンバーを検挙されて消耗していくのだった

とうとう革命者同盟は「山」に入った
赤城容子(=永田洋子)革命家の子孫を残すための妻帯を認めつつも、活動のなかでうつりゆく男女関係を批判する。毛沢東思想の「遊撃戦」に突入したとして、メンバーへ思想統制を働きかけていく
「敗北主義」「ブルジョア主義」「日和見主義」を排し、ついに共産主義化」という言葉まで飛び出した。前巻の対談で押井守が話していた、言葉によるレッテル貼りが構成員の精神を縛りつけ始める
妻帯の容認は赤城の谷川(=坂口弘)との関係を肯定するためのものであり、獄中の大山と付き合いつつ、五竜(=向山茂徳)に近寄る白根(=大槻節子)などには関係の清算を勧める。組織の規律にはリーダーの恋愛観がもろに反映されていた
求愛が痴漢と認識された荒船(=梅内恒夫)には、「個人の恋愛にまで組織に口出しされるいわれはない」と反抗され、赤城は声を荒げてしまう
口ではゲリラ闘争と過激なことを言いつつも、限定した男女関係を認める程度の禁欲さで、そのボーダーラインは構成員の空気や価値観に流されていく。「軍」として考えると、体力や意志など素養の考えずにメンバーを増やしていて、学生の同好会レベルと言わざる得ない

後書きには、現代の左翼活動家(?)紙屋高雪による解説が入っていた
漫画のオビにある「ごく普通の若者」というフレーズから、なぜ過激な武力闘争に入っていったかをフォローしていくものだ
大教室の「マスプロ講義」に代表される、大衆化した「大学」への不満。ベトナム戦争から来る反戦運動学生自治会による大学改善の運動が、60年代「全共闘」までの学生運動へ連動していたという
70年代からは単なる「反戦」ではなく、「自らも抑圧に参加している」という“捉え直しが行われ、既存の運動を批判するとともに「自己否定という言葉が広まる。この相手も自分も否定する“捉え直し”が学生の過激化を招いたとする
そして、それに「全共闘」を実力行使が成功した実例として植えつけられたことが、武力闘争への後押しとなったとか
紙屋高雪氏は湾岸戦争から学生運動に加わった世代で、正直この解説には納得いかない部分もある。「全共闘」は幅広い層を呼び込みやすい目的があったから大規模化しただけで、新左翼のセクトはその一部にすぎない。北野武が「学生が大人に石を投げれる祭り」と話していたし、運動へのモチベーションはかなり温度差があったはずなのだ
新左翼はベトナム戦争が終息に向かい、運動の熱が鎮まるなかで取り残されただけなのではないだろうか


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