『レッド』 第2巻 山本直樹

闘争と逃走


レッド 1969~1972(2) (イブニングコミックス)
講談社 (2012-11-05)
売り上げランキング: 17,719


リーダーの筑波(=川島豪)を奪還するため、革命者同盟の赤城容子(=永田洋子)たちは銃砲店を襲撃。猟銃を確保しつつも警察に追われ、茨城から新潟、北海道へと過酷な逃亡生活を送る
組織の機関紙を購入するシンパを当てにしつつも、それすらなくなると昔の友人の家などを転々と移り、メンバーは「消耗」していく。身分を偽装しての間借りなど、作品では活動家が用いたアジト作りの手口が詳細に描かれている
赤色軍の側は、銀行を襲う「G作戦」と、沖縄基地を爆破するためのダイナマイトを確保する作戦を同時並行で進める。岩木泰広(=植垣康広)は、合法活動の部隊(合法部)から武力闘争の中央軍に異動させられ、ダイナマイト班に回される。この際、岩木に拒否する権利はない
しかし、G作戦の部隊が警察に捕まると、活動費を確保する目的で同志とともに銀行強盗を働くのだった。逃亡中に残留した所持品から身元が割れ、岩木とその一同は指名手配犯となる。こうした新左翼の組織犯罪に対応するため、数万人の警察が全国各地に動員されていたという
岩木は同じ赤色軍の月山幸子(=玉振佐代子)と男女の関係にあったが、手配された岩木たちの代わりに連絡係を任せたことから、川崎のアジトで警察に捕まってしまう
磨り減って行く両組織は連絡を取り合い、革命者連盟の赤城は日本での武力闘争を諦め、中国への亡命を提案する。が、それは連れ合いの谷川博(=坂口博)や合法部から反対され、赤色軍も否定的。谷川は「山」に根拠地を作ろうと言い出すのだった

巻末には、押井守と作者・山本直樹の対談が収められていた
主に山本が聞き役で、押井の学生運動とその顛末が語られる
70年前後の学生運動には、大学生だけでなく高校生や中学生も動員されていて、押井も高校で密かに活動していた
押井によれば、マスクをかぶりゲバ棒を持つのは、いわば「戦士」として違う存在になれる魅力があったという。とはいえ、ゲバ棒に凶器としての能力はなくて、いわばシンボル的存在だった
また、学生運動にはクラブ活動に似た側面があり、女子とうまく話せない者も政治ネタを挟むことでその壁を突破できた。目的は真面目とはいえ、女子と話したいという下世話な欲望と両立する空間だったという
武力闘争しようと山岳で訓練した連中も、本当の戦闘訓練とはほど遠く、いわば体育会系の合宿の延長に過ぎなかったろうと推測する
学生が「戦士」になりたがるのには、現状の自分に対する不満があって、押井自身も「早く戦争にならないか」と思っていた。今の世の中が続くと、落ちこぼれのままだという危機感があった。こういうところはISに吸い寄せられる若者と共通するものがある
「祭りのあと」の世代に見られがちな押井守が、退潮していたとはいえその祭りに参加し、その限界を実体験として持っていたのは意外で、活動家たちと地続きの場所に立っていたのである


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