『箱根の坂』 中巻 司馬遼太郎

今川家への下向は、伊勢貞親の指示という話も


新装版 箱根の坂(中) (講談社文庫)
司馬 遼太郎
講談社
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妹・千萱の夫、今川義忠が戦死した。義忠の遺子・竜王丸は幼く、今川家は扇谷上杉家を後ろ盾とする範家との家督争いに突入しようとしていた。他ならぬ千萱の危機に、早雲は数人の同志ともに駿河へ東上した。交渉相手となったのは、戦国黎明期を代表する名将・太田道灌。早雲は範家ら御連枝衆を嫌う国人衆を味方につけて、竜王丸の家督を確保する

ついに早雲の下克上が……始まらない!
早雲はあくまで妹・千萱と竜王丸を助けるために、駿河に下っただけであってそれ以上ではないのだ
竜王丸が成人するまでの14年間、関東と駿河の境目にある興国寺城を守り四公六民という当時としては破格の税率で民政に尽くした。室町の上級武士たちが民衆を税を搾り取る存在としか考えない中、同時代では稀有な善政だった
駿河へ向かう早雲の同志として、田原荘の山中小次郎のような次男以下の「厄介者」が集結。それぞれが自分の立身をかけての旅立ちで、なんの縁のないところへ乗り込むのはいかにも戦国らしい光景だろう
早雲に付き従った盟友6人は、北条家のなかで「御由緒衆と呼ばれ、特に大道寺家は代々、宿老の位置にあった

応仁・文明の乱からまだ時を隔てず、まだまだ旧時代の遺風が強い
扇谷上杉家の家老・太田道灌は、足軽たちを軍勢として組織し、江戸城をはじめとする優れた縄張りの城郭を建築した。歌道にも精通し、主君を圧倒するほどの名声と勢威を誇った道灌であったが、下克上など思いもしなかった
早雲もまた、チャンスに恵まれながらも欲は少ない
本人いわく「旅人」(中田ヒデ?)であり、時宗の聖たちに通じる半ば「世捨て人」。思えば、早雲という名前が全てを語っている。ぎとぎとした野心の塊なら、14年間も一城の主に収まらないだろう
国人一揆が頻発するといえど、まだ身分上位の者を堂々と討つなど、誰も思いも寄らぬ時代なのである
というわけで、展開は地味ながら、単なる妹に留まらない千萱との怪しい関係や、今川範家とそれに組する者との暗闘、いざという時に見せる早雲の名人芸な弓矢……そして『街道をゆく』的な薀蓄と、いつもの文章力で飽きさせない


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