未来の貴種流離譚 『重戦機エルガイム』のまとめ

FSSはあまり触ってないんですけど


1.永野護のスターウォーズ

第1話からライトセーバーの殺陣、ホーバーバイクによるカーチェイスと、荒野の惑星を背景にした活劇は、スターウォーズそのもの。とすると、3POなりR2D2なりの助手ロボットは……というと、これがおそらくファティマの役目だったのだろう
『コブラ』のレディなど、主人公をフォローする女性アンドロイドはSFではよくある設定なのだけど、富野監督の強硬な反対で却下。その代わりを担ったのが、有翼人ミラリイのリリスで、『聖戦士ダンバイン』のチャムと同じ役割を負った
こうした経緯を考えると、翌年に『Zガンダム』を控えていた富野監督の起用と、ペンタゴナ・ワールドは『ダンバイン』の多元世界のひとつという引きは、無名の新人を起用するうえでの営業戦略と見てとれそうだ

と、多少の設定は変更されたものの、大枠については永野護が考案した世界観に基づき、渡邉由自の小説をベースにストーリーラインは決まっていたようだ
富野の「『エルガイム』は捨て駒」発言、富野-永野対談で「エルガイムの後半はZにばっか構ってましたよね」という突っ込みがあったように、各話を担当したスタッフに放任されていた。そのせいで作画の荒が目立ったり、おっぱいを出し過ぎたりした反面、突発的に異様にカッコいい演出(今川回!)きざな台詞回しが決まったりして、感心する回も多かった
富野作品特有の終盤での畳みかけるような盛り上がりには欠けるものの、長丁場のアニメらしい起伏に飛んだ物語が楽しめた


2.ダバとギャブレー

ダバは周囲の人間を大事する優等生として登場し、ギャブレーは計略でリーリン一家を傘下に収めるなど、功利主義者として立身出世を目指していた
正直者のダバを上手く立ち回るギャブレーが笑うのが、前半の定番だったが後半において反転する
ダバは反乱軍のリーダーとして頭角を現し、ポセイダルとの戦いが最終局面を迎えると非情な決断を迫られる。あれほど嫌っていたスパイの投入、惑星に対する隕石落とし、終盤では最愛のクワサンを前面に出してポセイダル探索に乗り出す
女性を駒として使い切るギワザやアマンダラと近い領域へ踏み込まざる得ない

そんなダバと反比例して、女性への愛に目覚めるのがギャブレー
中盤でもレッシイに惚れるなど広い守備範囲を誇りつつも、最後はクワサンにゾッコン!
スレンダースカラの身の振り方を犠牲にしつつ、ただただクワサンを救うために動き回る
それはダバに言わせると、熱病のような安っぽい愛なのだが、結果としてギャブレーに何度も救われることになる。そして最後は忍の一字で私情を抑えていたダバともに、真ポセイダルを倒す
一個人としての心情か、リーダーとしての大局か。ダバの葛藤にギャブレーが手を差し伸べたのだ。ここまで絵に書いたようにライバル関係がはまるのは、滅多にない。惜しむらくは、ギャブレーがクワサンをダバに返す場面が描かれなかったことだろうか


3.富野は何をもたらしたか

前述のファティマの否定、リリスの早い投入は有名だが、他についてはよく知られていない。作品通してみると、純粋な富野作品とはとうてい言い難い
しかし気になるのは、ダバが精神崩壊したクワサンと故郷に帰る結末である
渡邉由自の小説、エルガイムをモデルにした『ファイブスター物語』(FSS)では、アムと結婚してカモン王朝が再興するのだ
主人公が勝利の栄光を帯びず、戦争の犠牲になった女性の面倒を見るという結末は、富野的ではなかろうか
アマンダラ(真ポセイダル)の両親がヤーマンに殺されたという因縁があり、ダバが王朝を復興しては歴史の繰り返しとなる。同じ繰り返しにならないように頑張るという筋書きもありだが、すでにクワサンという犠牲がある
様々な女性に愛された主人公が、最後はもっとも愛が必要な人間にその身を捧げたのだ
富田祐弘という富野の日大藝術学部の後輩が脚本家として参加している。学生運動家らしく作品に国家論を注入し、富野に近い風味をもたらしているのだが、この御仁がヒロインの行方まで決めたとも思えないので、やはり富野が関わっているように思うがどうだろう


『重戦機エルガイム』は、もっとも富野成分の少ない富野作品はずだ
それでもバイオリレーションで若さを保つ女王ポセイダルは、ディアナ・ソレルを連想させるし、ギワザやアマンダラといった女性を利用する悪役はZやVに通じるものがある。特にアマンダラは『ダンバイン』のショット。『Z』のシロッコの系譜に数えられそうだ
ただ、↓の富野インタビューを聞くと、「スターウォーズのその先の未来」を想像したとあって、それなりの想いを持っていたようで、実際本人のなかでどういう位置を占めるのか、ちょっとよく分かりません(汗




関連記事 【配信】『重戦機エルガイム』 第1話~第3話

重戦機エルガイム大全

双葉社
売り上げランキング: 708,269
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
カテゴリ
SF (22)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。