『時代劇の間違い探し 峰打ちしたら刀は折れる』 若桜木虔 長野俊也

ツィッターの考証突っ込みに使える!?


峰打ちをしたら刀は折れる 時代劇の間違い探し (新人物文庫)
若桜木 虔 長野 峻也
KADOKAWA/中経出版
売り上げランキング: 22,154


幕末に「脱藩」という言葉はなかった!? 専門家が時代小説や時代劇の嘘を斬る
具体的に特定の「時代劇」へ突っ込みを入れるというより、世間に流布する江戸時代のイメージを訂正していく内容だった
「士農工商」の身分制度など、江戸時代の誤まったイメージが広がったのは、明治政府の教育のせいで、前時代を悪し様に描き現政府の正当性を強化するため。実際は、武士になるのは狭き門であったものの、その他の職業は比較的自由に営むことができたのだ。むしろマルチだからこそ、「百姓」なのだ
そのほか、幕府の直轄領を「天領」と呼ぶのはおかしくて、「天領=天皇領」となったのは大政奉還後の話江戸時代の幕府直轄領は「支配所(処)」、通称「御料(所、地)」と呼ぶのが正しいなど、当たり前に受け入れている事例へもメスを入れていく
重箱の隅を突く傾向はあるものの、言葉はそれを差すもののイメージを決定づけるので、まず本来の姿を知っておくのが大事だろう

身分制度の偏見を取り除いていくと、面白い近世が見えてくる
庄屋名主というと、村をしきる富農で役人との仲立ちをするイメージだが、それのみに留まらない
そもそも農村の庄屋・名主は、戦国時代に武士だったものが多いのだ。主家が滅び武士の身分を失う代わりに、本領が安堵されて様々な特権を持っていた
本書で紹介されている山形酒田の本間家は、なんと20万石を持つ日本最大の地主!
本間家は元上杉家臣で、江戸時代の主筋、庄内酒井家(10万石)に対して様々な財政支援を行い、長岡へ転封されそうなときにも百姓衆を動員して禁断の直訴を決行。なんのお咎めもなしに転封を阻止してしまった
強力な地縁を持つ庄屋・名主とうまく付き合わないと、領国統治は困難だったのだ
本書は秀吉の「検地」を武装する百姓とのバーター取引であるとして、農地の所有者を確定することにより武装の必要をなくしたとする。「検地」によって、「刀狩」の正当性が得られたというわけだ

著者の一人が武道研究家なので、武術関係の考証も凄い
真剣白刃取りが成立しないのは当然として(笑)、矢を刀の刃で切り払うのも危険。リアルで試して矢尻がささった武道家がいるらしい
矢に対する刀の防御法としては、刀身の側面にある鎬(しのぎ)を使って叩き落す。流派によっては、鎬の部分を正面に立てて盾のように使うこともあるようだ
戦国武者にとって弓矢は脅威であり、背中につける袋状の母衣(ほろ)は防御手段に使われた
主人公が殺人を好まない場合に使う峰打ちもまた危険。日本刀は刃の部分を硬く鍛えているので、逆の峰の部分は柔らかい。峰を鈍器のように使うと、刃に負担がかかってぽっきり折れてしまうというのだ。水戸黄門の格さんは、何で殴っていたのだろう
さて、日本刀はなぜ両手持ちなのか。平安以前の刀剣は馬上で使うような片手剣であり、実のところ定説はない
本書では南北朝時代に野太刀大太刀が流行ったからでは、とする。当時の新武器として槍(!)が登場していて様々な長柄武器が主武装となっていたが、弓矢に槍と両方持つのはかさばると、比較的扱いやすい太刀が選ばれたと推測する
槍も弓矢も両手持ちの武器であり、盾とは併用しづらい。ここが日本刀=両手持ちのスタートのようだ
そのほか、江戸時代のミカンは種ありで、種無しの温州蜜柑は嫌われた(家系が途絶える!)とか、「僕」の人称は吉田松陰→長州から(天皇の下「僕」!)とか、様々なトリビアが詰まっていて、お手軽に江戸時代のイメージが更新できる一書となっている
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