『アメリカン・スナイパー クリス・カイルの伝説と真実』 マイケル・J・ムーニー

設立したPMC(民間軍事会社)の社訓が「ママがなんと言おうと、暴力が全てを解決する」。ちょ


アメリカン・スナイパー クリス・カイルの伝説と真実 (竹書房文庫)
マイケル・J・ムーニー
竹書房
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クリント・イーストウッドによって映画にもなった伝説のスナイパー、クリス・カイルの生涯を辿る
ブームに便乗した本なのか、かなりあっさりした内容だった
戦争については本人の自伝に譲るのか、軍隊のことより、入隊する前の青春時代、除隊した後の慈善活動に紙数が割かれている。文章が端的で、写真のページも多いので、一日で読めてしまった
映画化する前から、アメリカでは有名なスナイパーらしく、米軍史上最多160人以上の狙撃は、あくまで確認できた数字。機密作戦についてはカウントされないから、実際にはその倍の人間を葬っているという
「敵」から「悪魔」と罵られたというが、敵からするとアメリカのスナイパーはすべて「悪魔」。戦場で名前を確認できないから、クリスが特別というわけでもなく、だいたい一人8万ドルの懸賞がかけられていた
戦場の英雄がナイーブでなく、実にシンプルで竹を割ったような性格というところに、フィクションと現実の違いを感じる

本書では、クリス・カイルとベトナム戦争の伝説、カルロス・ハスコックが比較される。ハスコックはクリスも尊敬したスナイパーで、やはりその自伝もベストセラーとなった
「味方を助けるために、敵を撃ち殺しただけ」「いっさい後悔することはない」と発言も似ていて、軍隊内の論理で完結した精神の持ち主
イラク戦争に投入された狙撃手は、通常兵器による民間人の被害を減らすために市街に配置されていて、クリスもその仕事に誇りを持っていた
敵を狙撃する際の精神状態は「平和的だそうで、リラックスな状態でなければ距離、風、地表の曲がり(!)をも換算した精密射撃を行えない。戦時において「健全」足りえることが、狙撃手の条件なのだ。戦場を潜り抜けてなお、ウッソのように「健全」な人なのである(それが人間としての「健全」かは分からないが……)

海軍特殊部隊SEALsの離婚率はクリスいわく90%と芳しくない。妻タユから限界と切り出されたことから、除隊を決意。本国に帰った後は、自信を失った帰還兵や負傷兵のためにフィットネス用品を配る仕事を始め、狙撃手を訓練するPMCの取締役に就任して、精神を患う元兵士を救う活動に終始する。軍人としての義務を全うし、市民としての慈善活動に勤しむ、極めて模範的な国民であり続けた
しかし2013年2月2日、戦場でPTSDを患った若い元兵士を射撃場へ連れて行こうとしたときに、その若者によって友人とともに射殺されてしまう。本書では壮大な葬儀と英雄としての偶像が称えられるが、戦争の闇に葬られた一人といえるだろう


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