『テンペスト』 第3巻・第4巻 池上永一

自分の子供にもバレない(苦笑)


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真鶴清の宦官・徐丁垓を殺害した罪を負い、孫寧温としての地位を失って八重島に流される。漂流した船から逃げ出した清国人苦力を助けようと王宮に書状を送り、さらに険しい地域へと移されてしまう。マラリアに倒れたことをきっかけに、一人の女性としていき始めるが、その美貌と踊りの技から王の側室候補として首里城へ送られるのだった

19世紀の琉球王国を舞台にした歴史小説の完結編
真鶴は高官の地位を失い、王の側室として御内原(大奥)に入る。男の振りする必要がないので、すっきりしたと思いきや、ペリー来航に及んで孫寧温が大復活! 今度は大奥と王宮で二役をこなす羽目となる
官僚として有能で、数ヶ国語を読み書き会話して、宦官のときも男に惚れられるほどの美人と前巻以上に真鶴の無双が止らない
彼女が活躍するほど、朝温に代表される琉球関係者の格が落ちてしまい、実際の歴史的事件に彼らがどう立ち向かったか、というキモの部分が再現できていない
寧温のようなスーパーマンがいないと乗り切れられないのなら、琉球王国はかなりの暗黒だったとしか思えないではないか
物語の転がし方も、その場しのぎに盛り上げ過ぎて、ラストにまったくカタルシスがなかった。これほどの文章力がありながら、どうしてこうなった(苦笑)。雅博(薩摩藩士)にそうさせるなら、もっと“やまとんちゅ”の視点を盛り込むべきだった
貧しい八重島や真牛が転落した賎民・ニンブチャーの存在など、暗黒面に軽く触れているものの、あくまで琉球王朝の上澄みを取り上げた宮廷小説なのだ

小説で違和感を感じるのは、琉球王国内の薩摩藩の在り方だろうか
そもそも薩摩藩が琉球へ侵攻したのは、幕府の対明貿易復活の仲介を頑なに断ったからだ。薩摩藩にとって、琉球は清朝をはじめとする密貿易の拠点であり、その利益をもって77万石の家格を維持した
とうぜん、柵封貿易にも大きく絡んでくるはずだが、小説にはその影が全くない
ペリー来航に際しても、琉球の外交が上手くて江戸幕府がだらしないような演出がなされているが、実際には幕府はそれなりに情報収集し続けていて、小笠原諸島を確保するなどの手を打っているわけで、作者の幕末の日本に対して認識は甘いといわざる得ない
琉球王国は中国などアジアの諸国が海禁策をとり続けたことにより、貴重な中継地として繁栄を誇った。列強の来航で海禁策が緩和されると、地域が直接結びついて交易路が確立されるようになり、アヘン戦争やペリー来航による中国・日本の開港は琉球の中継地としての存在意義を奪うこととなる
琉球処分はこうした経済情勢の変化から進行したものであり、帝国主義の要素はあるとはいえ、このときからアジアの最強国を目指して侵略を開始したというのは、完全な後付けである
沖縄愛の深さから日本を貶す表現は残念だったものの、琉球王国とその宮廷を再現した重厚な世界観は壮観。もう少し琉球について調べたくなったし、啓蒙の役割を充分に果たしてくれた作品だった


前巻 『テンペスト』 第1巻・第2巻

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