『米露開戦』 第3巻・第4巻 トム・クランシー マーク・グリーニー


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ロシアのヴォローディン大統領はウクライナへの軍事侵攻を前に、同国経由のパイプラインを一方的に閉鎖する。欧州向け天然ガスの75%がカットされたことになり、NATO加盟国への強力な牽制となった。それに対し「ザ・キャンパス」のメンバーはキエフでデルタ・フォースと合流し、隠密にウクライナ軍に協力を始める。一方、父の指示で「天頂」を探り出したジャック・ライアン・ジュニアは、元M15の工作員「地底」と出会い……

トム・クランシー最後の作品の後半
ついに、ロシアはウクライナ侵攻を開始した。自作自演の親ロ政治家の暗殺から、FSBと特殊部隊、ロシア・マフィアの結合によって起こされた騒擾を口実にした軍事介入と、現実とリンクするような展開に驚く
首都キエフを目標とする軍事行動は現実と乖離しているものの、その有様は実際のウクライナ東部を彷彿とされるもので、作品内の出来事との距離感の無さがいろんな意味でたまらない。小説のようなことが本当に起こっちゃいけないんだよ!
このロシア軍の侵攻を押し留める鍵となるのが、ジャック・ライアン(現大統領)が30年前に会った謎の暗殺者「天頂」を巡る事件であり、ジャック・ジュニアが父に代わってその謎を解き明かし、現FSB長官と結びつけることでヴォローディンの野望を後退させる
若干、オチには強引さは否めないものの、現実的紛争と冷戦下のスパイ物を絡ませて最終的な決着に結びつけるストーリーラインはさすがで、国際社会への切実な警告といいポリティカル・フィクションの巨匠に相応しい名作だった

はたしてロシアとウクライナ間で戦争になった際、アメリカはどこまで援助できるのだろうか
ウクライナ軍は、旧ソ連軍を引き継ぐロシア軍とは歴然とした差がある。動員兵力もさることながら、質もしかりで、戦車で比較すればロシア軍が最新鋭のT-90なら、ウクライナ軍は冷戦時代のT-72(湾岸戦争のイラク軍主力戦車)なのである
兵隊の士気も高いとはいえなくて、空軍が思ったほど差がないという程度。小説ではこれを生かして、デルタ・フォースを秘密裏に投入し、最新のレーダーでロシア軍の戦車を捕捉しウクライナ軍の戦車や攻撃ヘリ、攻撃機に位置を知らせ、その進軍を遅滞させている
ウクライナはNATOの機関EAPC(欧州・大西洋パートナーシップ理事会)に加盟しているものの、NATOそのものには加盟していない
中東などに強い影響力を持つロシアと正面から事を構えるわけにはいかず、有事にやれることといえばこの程度なのだ
本作では旧KGB関係者“シロヴィキ”による恐怖政治と新興財閥オリガリヒによる略奪資本主義が描かれる一方、美人すぎる親ロ政治家を持ち出したり(モデルはおそらくユーリヤ・ティモシェンコ。実際の彼女は欧米派)、冷戦時代のスパイ小説とCOD的アクションも味わえて、サービス精神も旺盛な作品だ


前回 『米露開戦』 第1巻・第2巻

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