『米露開戦』 第1巻・第2巻 トム・クランシー マーク・グリーニー

原題は「COMMAND AUTHORITY」(=指揮権)


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ロシアの戦車部隊がエストニアに侵入した。NATOの介入で事なきを得たものの、KGB出身のロシア大統領ヴォローディンは、ソ連復活をかけてウクライナに狙いを定める。アメリカ大統領ジャック・ライアンは、ヴォローディンの野望を阻むべく、休眠状態だった「ザ・キャンパス」を始動させ、キエフへ潜入させるのだった。その一方、中国の作戦で傷心のジャック・ジュニアは、民間の調査会社でロシア経済の闇に迫っていた

2013年12月に亡くなったトム・クランシーの遺作
共著者のマーク・グリーニーは、2011年からジャック・ライアン・シリーズに参加しており、自身のグレイマン・シリーズでも有名な人らしい。クランシーの死後も、ジャック・ライアン・シリーズの世界観を引き継いだ作品を発表しているそうだ
本作は現在進行形で紛争が起きている旧ソ連圏を舞台とした、ロシアと欧米の角逐がテーマだ。アメリカ視点なので、欧米寄りのウクライナを独裁国家のロシアから守るという筋立てとなっている
トム・クランシーというと、現実の「そこにある危機」を膨らませてハリウッド風に爆発させるイメージが強い(偏見?)が、第2巻まで読んだところでは、むしろ現実が小説を追い越している(苦笑)
前半のクライマックスがクリミアの親ロシア派に取り囲まれたCIA職員をオスプレイで救出するところなのだが、現実のクリミアは2014年3月にロシアが軍事介入し、住民投票で編入させてしまったのだ
第3巻以降はさすがに小説が追い抜くようだが、現実のほうもウクライナ東部にロシア義勇軍が乱入するなど予断を許さない情勢が続いている

KGB出身の大統領に、ジャック・ライアンと会食したロシア人の元スパイがポロニウムで毒殺されるなど、物騒なネタをこれでもかと盛り込まれている。小説として膨らませなくても、そのまま使えてしまうのがオソロシア・クオリティである(苦笑)
小説では国外を諜報を担当するSVR(ロシア対外情報庁)国内の保安を担当するFSB(ロシア連邦保安庁)が統合され、実質的にKGBの復活とされているが、そもそもFSBがロシア国内のみならず旧ソ連圏(CIS諸国)全体を活動範囲としていたことに驚いた
表向きはCIS諸国同士が諜報活動しない協定があるかららしいが、旧ソ連圏を統括する保安機関がずっと続いていたことになる。旧KGB関係者は、ソ連が崩壊してもCIS諸国を自分の庭のつもりでいたのだ。彼らと普通の人間とは世界地図が違うのである
小説ではクリミア併合を狙って、FSBが住民にパスポートを配り、自国のごろつきを組織員として送り込むなど具体的な工作活動が描かれる一方、新任のFSB長官が実は伝説的な暗殺者「天頂」であり、30年前のジャック・ライアンの視点で回想され、息子のジャック・ライアン・ジュニアが租税回避地を利用した闇取引に挑むなど、様々な筋が絡み合う
それがいかに結合して収束するか。後半が楽しみだ


次回 『米露開戦』 第3巻・第4巻

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