『街道をゆく 6 沖縄・先島への道』 司馬遼太郎

意外に地域差が大きい


街道をゆく 6 沖縄・先島への道 (朝日文庫)街道をゆく 6 沖縄・先島への道 (朝日文庫)
(2008/09/05)
司馬 遼太郎

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第6巻は、沖縄、先島諸島の旅
週刊朝日の連載が1974年6月からと、沖縄が返還された間もない頃に取材されている。本書は、本土の資本投下されて開発される前の沖縄を映し出している
『街道をゆく』は日本人の原型を探すのがテーマで、今回はそれが持ち込まれるが、柳田國男のように南方起源までいかない。あくまで開発の遅れた<辺境>に、古日本人の遺風を探すスタンス
沖縄に触れるには、「沖縄問題」を避けられない
司馬も本土決戦に備える形で、満州から日本に呼び戻された経験があるので、15万人の島民が死んだ事実からは、自分の運命と比較せざる得ない。しかし、標準語の押し付け批判など安易な反体制論者には同調しない
沖縄問題は単に沖縄だけの問題ではなく、日本人と国家の問題をはらんでいるのだ
日本人と沖縄を巡る論争は、巻末の牧祥三の解説に詳しい。必読である


<那覇・糸満>

那覇空港から首里城糸満の漁村
沖縄県は、明治12年の「琉球処分」で誕生した。廃藩置県は明治4年から断行されていて、沖縄は明治6年に琉球藩として鹿児島と切り離された。西南戦争後に、より強力になった明治政府のもとで、国内県となる
その統治は小学校や診療所を整備するなど、薩摩藩の支配よりはかなりマシなものの、明治20年まで人頭税に苦しめられるなど、本土に比べ搾取の度合いは酷かったという

中世・近世の中国や韓国では、倭人は倭寇の活動から乱暴で貪欲と評されたが、琉球人は逆に好評だった
日本の私貿易が倭寇化したのに比べ、琉球人は中国との朝貢を保ちつつ、東南アジアまで活動していたらしい。ヨーロッパ人の記録に、マラッカ海峡に現れた謎の民族「ゴーレスが交易に来る記録が残っていて、おそらく琉球人のことだと考えられるという
司馬は、空港のトイレが糞便で汚れていたのを「本土人のしわざ」とされるところから、琉球人から見た本土人の印象を読み取る

糸満漁民の住む地域で、農村文化の那覇周辺とは一味違う
性に大らかな農村に比べ、漁村では貞操観念が厳しい。結婚する際には嫁が堅固な女であるか、確かめるための様々な儀礼が存在したという。男が漁で長く家を空けても、妻の貞操を気にしない済むようにという配慮のようだ
沖縄は島ごとどころか、細かい地域でも価値観が異なる


<石垣島・竹富島>

那覇から飛行機で石垣島
琉球王朝の印象から本土と独自に発達した印象の強い沖縄だが、想像以上に本土との関わりは深い
タクシーの運転手の話では、沖縄言葉と関西とはイントネーションが近い。薩摩言葉とは、薩摩人の海音寺潮五郎が間違えるほど似ているという
それは単に薩摩藩の支配があったからではなく、琉球人の起源の問題があって、古代日本で九州が先進地域として発達したときに、南九州の人々が琉球へ移り住んだからと考えれる
70年代の竹富島では本土復帰のために、倭寇の研究が進んでいた
この時代の倭寇は、後醍醐天皇の王子として九州の南朝を率いた懐良親王を「王」としていて、明の国書を届けていたという

沖縄に鉄器が伝わるのは遅かった
琉球王朝の成立は、鉄器の普及と深く関係している。本土と同様に、鉄の農具が農業生産量を飛躍的に高め人口を増やして、土地の争奪戦が始まった。15世紀に尚氏がはじめて三山を平定する
鉄の普及は当時の人にも衝撃的だったらしく、鍛冶をもたらした本土人(?)が神格化されていた


<与那国島>

到着するはいいが、一社しかいないタクシー会社が社長の一族に不幸があったので、社員まで喪に服すというアクシデントが(笑)
フリーダムな須田画伯が、野糞から自分の健康に自信を持つとか、珍妙なエピソードがいくつも拾われている
与那国は琉球王朝の支配に服するのは、16世紀に入ってからで抵抗の歴史が長い
老齢の巫女サンアイ・イソバはその宗教的権威をもって島民を束ね、琉球王朝の軍を何度も撃退した。ときには、八重島諸島の赤蜂(オヤケアカハチ)とも共闘した
沖縄は島々同士に交流が深いわけでもなく、言語のうえでも青森と鹿児島の方言以上に意思疎通がしにくいそうだ

日本にはもともと蒸留酒の伝統はなく、東アジア全体でも酒といえば醸造酒だけだった
司馬は元代にアラビア人がもたらしたと推測していて、沖縄特産の蒸留酒「泡盛は朝貢の始まった明代と考えたが、沖縄の人はタイからと考える人が多い
琉球王朝の黄金時代には、東南アジアまで貿易船を出していたので、この説も有力なようだ


前巻 『街道をゆく 5 モンゴル紀行』
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