【電王戦】第4回電王戦FINALの意義

五対五の団体戦は最後であるとして、FINALの名を冠する大会となった第4回電王戦は、三勝二敗でプロ側の勝利に終わった
管理人は家族の事情で、試合の一部分しか観戦できず、会見のすべてを押さえられなかったが、現時点で分かる範囲の情報で今大会を分析したい


1.年末の森下九段VSツツカナ

2014年大晦日、森下卓九段とツツカナの間にリベンジマッチが行われた
ヒューマンエラーをなくすために、持論である継盤の使用と秒読み10分の特殊ルールが用いられ、勝負は年をまたいで正月の午前五時152手をもった指し掛けとなった
ニコニコでも検証されたように、森下九段が入玉が確定した状態で、ソフト側が持将棋にするにも点数が足りない。素人から観ても、負けるのが難しいぐらいの勝勢で、判定勝ちは至極妥当な裁定だろう
実戦でソフトが強くても、個々の局面での大局観・技術では人間が勝るということが証明された対局だった
実のところ、人間とコンピュータ将棋の力関係を測る点では、本戦よりこちらの結果が重要だったと思う。本戦はPVのあった通り、ケジメの一戦になるはずだった


2.電王戦の経過

第一局 ○斎藤慎太郎五段 VS Apery●

Aperyが飛車を振り、ソフトが得意とされる対抗型
しかし、一方的に飛車先の歩が切れる展開となり、プロ側の優勢に。そのまま中盤まで手堅く差し切った斎藤五段がソフトの追撃を許さずに押し切った


第二局 ○永瀬卓矢六段 VS Selene●

「横歩取り」に誘導されると思いきや、ソフトの三手目4八銀で力戦模様の相掛りに。前例のない長期戦はソフトの強さが出やすいので、永瀬六段もマズい展開と考えていたようだ
実際、ソフト有利の局面もあったようだが、いつのまにか後手のプロがソフトの右玉を追い詰め、決定的な局面において角不成!!
これに対して、ソフトは王手放置して他の手を指してしまった。Seleneは無駄な手を省いて読みの力を強めたため、意味のない不成に対応できなかったのだ
永瀬六段は優勢を確信しつつも、より確実な勝利のためにバグを起こす不成を着手した
将棋でもプログラム的にもソフトを圧倒した完全過ぎる勝利だった


第三局 ●稲葉陽七段 VS やねうら王○

開発者・磯崎氏の発言から、ソフト最弱と噂されたやねうら王が相手とあって、早くも人類の勝ち越しが期待された一戦
しかし、やねうら王のランダム性の強い序盤により、プロの研究を離れた力戦模様に。二筋を押し込まれた局面で、稲葉七段はあえて二筋で開戦する勝負手を放つ
相手が突きたいところを逆に突く手は問題視されたが、やねうら王自体の判断では直後に形勢が傾いたわけではないらしい
やねうら王は勝勢時に詰みを逃すなど間の抜けたところも見せたが、素人には良く分からないうちに勝ちきってしまった
局後の会見で磯崎氏は、不思議な序盤について、電王戦ではソフトに代わって着手する“電王手さん”が指す間がある分、デスクトップで対戦するのとは思考時間にギャップが生じることを指摘。事前研究と実戦ではわずかな時間差で、ソフトの指し手が劇的に変わってしまうのだ
事前研究の限界を示す一局といえるだろうか


第四局 ●村山慈明七段 VS ponanza○

前回の電王であり、実質最強といわれるponanza「序盤は村山に聞け」と呼ばれる棋界随一の研究家・村山七段が挑んだが……
対ソフトに有望とされる「横歩取り」への誘導に成功し、村山七段は最も激しい「相横歩取り」へ踏み込む
しかし、浮いた7八の金に対する対応に、ponanzaは意表の7七歩!
くしくも前例は米長前会長のみという奇手だったが、実はそこまでは研究範囲。しかし、ソフトが飛車交換を避けたことで研究を外れてしまい、馬を作られてからは苦しい展開となった


第五局 ○阿久津主税八段 VS AWAKE●

二勝二敗で迎えた最終局は、電王戦らしい(?)想定外の展開となった
AWAKEが成った角が取られる手を打ったところで、開発者の巨瀬氏が投了してしまったのだ
この展開は2月28日に行われたイベント「電王AWAKEに勝ったら100万円」において、アマチュアの挑戦者が勝った戦法で、序盤で角を取られる局面は確かに先手勝ちづらい。阿久津八段は研究数日目で気づいたそうだ
むしろ、本番は局後の会見だった
巨瀬氏が「プロがハメ手を使って勝ってにいいのか」と突きつけたことで、電王戦の存在意義が問われたのだ
ソフトが人間を圧倒してきた状況下において、魅せて勝つ余裕があるわけもなく、二勝二敗で迎えた責任からも阿久津八段を責める理由はひとつもない。角を取られても指すだけ無駄という状況ではなく、「将棋を魅せる」点でいえば、早い投了に問題がある。空いた時間を永瀬六段が埋めてくれたのだ
元奨励会員の開発者がかつての夢舞台で対局するというドラマは、後味の悪い結果となった


3.レギュレーションは妥当だったか?

前回と同じレギュレーションだったが、電王戦を総括する会見では、開発者側の大会への異論が噴出した
実のところ、前回から人間寄りのルールになっていたが、ソフト側が勝利したことで問題視されなかった。今回、人間側が勝利したことで、その不満が顕在化した格好だ
複数のPCをつなげるクラスタの禁止はソフトの棋力を限界よりは抑えてしまうし、ソフトの事前貸し出しと調整の禁止は開発者の不自由さにつながっている。ソフトを差し出して半年間何も手が出せないのは、開発者も悔しいしフラストレーションが溜まったことだろう
開発者の中で“貸し出し賛成派”の磯崎氏は、貸し出し対策に序盤のランダム性を高めていて、その分棋力が下がると話していた

もし羽生四冠などのタイトルホルダーとの最終決戦を想定すると、今回のレギュレーションのままでは通用しない。少なくとも開発者の調整を許さないと、人間側が隙を見つけ出した場合、勝負がマンネリ化し興行として成立しない
人類対コンピュータをテーマを追求すると、クラスタの禁止にも疑問符がつく
今回で電王戦が一段落したのは、運営する立場からすれば運が良かった。開発者・プロ・観客が納得するレギュレーションを設けるには、かなりの時間と労力が必要なことだろう
せめて、修正されたAWAKEのリベンジ対局が実現して、後味の悪さを払拭できれば嬉しいのだが
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