『イエスはなぜわがままなのか』 岡野昌雄

著者いわく、キリスト教は日本に広まらなかったが、愛や自殺のタブー視などその影響は感じるらしい


イエスはなぜわがままなのか (アスキー新書 67)イエスはなぜわがままなのか (アスキー新書 67)
(2008/06/10)
岡野 昌雄

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イチジクの木を枯らせ、豚を入水自殺させ、市場では大暴れ。世間のイメージとは違うイエス・キリストを紹介しながら、キリスト教徒にとっての「信仰」を説く
本書はフェリス女学院学院長(当時)の著者が、一人の信者の立場からキリスト教の「信仰」がいかなるものかを説明し、世間に流布する誤解を払拭することを狙いとしている
初詣をしながら「無宗教」と称してしまう日本人にとって、キリスト教を神秘の眼差しで見てしまうが、キリスト教徒だからといって隔絶した意識で生きているわけではない
「世界」に対する把握の仕方が違うだけで、「信仰」とそこへ到る境地は日本教教徒にも共感できるものなのだ
かなり基本的なところから説明してくれて、かつ分かりやすい文章なので、キリスト教の常識を知るのに最適だろう。ただし、キリスト教にはいろんな宗派があり、著者がプロテスタントなことは踏まえて読むべき

前半はタイトルにある通り、聖書にあるイエスのエピソードを引用して、一般に知られるイメージとのギャップをピックアップしていく
「季節はずれで実のならないイチジクの木を枯れさせる」「人についた悪霊を豚に転移させて水に飛び込ませる」(ドフトエフスキーの『悪霊』で有名)「市場で売買される動物を放して大騒動を起こす」「『わたしは平和ではなく剣をもたらすために来た』と信者に語る」など、愛と癒しのイエス像と一味違った姿がそこにはある
極めつけは、ユダに対して「お前なんて生まれて来なければよかった」と言い放ったことで、わざわざ自分で裏切りのフラグを立てるような振る舞いをとる
ユダヤ教の改革者として説明できるものもあるが、特にユダの件は納得いく解釈はしがたい
ここで著者は、こういう理解しがたいエピソードこそが、考えさせるキッカケをくれるという
神だけが全知全能とすれば、そうでない人間が理解できないのは当たり前聖書は「イエスに出会った人々の証言集」に過ぎないのであって、完全な答えをくれるものではない
聖書にあることを“すべて事実”と言いはる宗派もあるものの、多くのキリスト教徒はそう記された裏の「真実」を読み取っている
人間が絶対でない以上、その信仰も絶対ではないわけで、それを押し付けるところに原理主義の問題がある

誤解されやすいのが、キリスト教の「原罪」概念
「罪」といっても、イコール「悪」ではない。キリスト教の「罪」とは、犯罪でも不道徳でもなくて「的外れ」、「神の方向に向いていないこと」を指す
「罪」は神を知ることで初めて分かるもので、キリスト教の場合はまずイエスに会って神を知り、「罪」を知るという順番となる
アダムとエバの楽園追放が象徴的で、「善悪を知った木の実」をかじったが故に、神の意志が見えなくなり、エデンの園を追われている。道徳は人間の基準で作り出したものであって、それが神の方向を向いていることとイコールではないのだ

さて、神の方向を向くこととは何かというと、祈り
「祈り」は「願い」ではなく、神と対話することであり、感謝から問いかけ、怒りまで含まれる。「神」という人間に理解不能な存在だと“親しみ”が湧かないが、キリスト教では神がイエスという人間として現れたとして、それを媒介に「会話」を想定する
全知全能の神がわざわざ生身の人間として来てくれるところは、ギリシア神話の影響を感じる
著者は自発的に教会の門を叩いた人で、信仰することで「神にありのままの自分を受け入れられた」と感じられた。神だけが絶対ならば、他のすべては絶対でない。この価値観によって、神(真実)以外のものから支配されなくなり、精神の自由を得られたという。ここは仏教の悟りにも近いと思う
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