【DVD】『パンズ・ラビリンス』

ラストはタヴー破り!


パンズ・ラビリンス 通常版 [DVD]パンズ・ラビリンス 通常版 [DVD]
(2008/03/26)
イバナ・バケロ、セルジ・ロペス 他

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1944年、スペイン。内戦終結後もレジスタンスが抵抗する森に、オフェリア(=イバナ・バケロ)はやってきた。母カルメン(=アリアドナ・ヒル)がフランコ軍のヴィダル大尉(=セルジ・ロペス)と再婚し、身重の体でその任地へ趣くことになったのだ。謎の石碑から飛び出した虫に導かれたオフェリアは、廃墟の迷宮の中で妖精たちと守護神パン(=ダグ・ジョーンズ)に出会うが……

ファンタジーとシリアスな歴史物がブレンドして不思議な味わいになっていた
ファンタジーとしては、少女が不思議な世界に出会い、試練を経て世界の秘密を知り、元の世界に返ってくる「往きて還りし物語だが、元の世界がなにせ内戦の埋火が冷めやらぬ時代。フランコのフェランヘ党によるレジスタンスへの苛酷な弾圧が行われ、ときに子供たちすら巻き込まれる
退屈な日常から非日常へ旅する王道パターンとは、その点一味違う。スペイン内戦という背景を理解しないと、このラストは承服しがたいだろう
愛らしいヒロインを演じるイバナ・バケロの魅力もさることながら、敵役ヴィダル大尉の造形がいい。戦死した父親の時計を形見に持ち、部下を私兵同然に使い、砦では専制君主として君臨する。戦いでは陣頭に立つ勇敢さを見せるものの、捕虜への拷問は容赦がない
軍人の枠内で考えて人間を功利的に使い切る、颯爽した独善ぶりは、フランコ独裁政権を一身で象徴している
ファンタジー描写は地下世界の虫と泥へのこだわりを感じるものの、レジスタンスの描写に比べ地味に思えてしまうが、日常が非日常より苛酷という転倒がテーマでもなので致し方なしか

オフェリアはパンに導かれ、死んだ王を継ぐ女王として地下王国への試練を受ける
地下王国は「死者の国であり、死んだ王は幼くて亡くした父を暗示する。つまり彼女にとって地下王国への旅は、父親探しの旅である
王国へ入るための三つの試練が必要で、最初は枯れた大木に潜り込み大蛙から「黄金の鍵」を取り戻すこと。与えられたドレスを脱ぎ捨てたところを見ると、文明社会から遠ざかって動物や虫の世界へ近づくことを表しているのだろうか
二つ目はのっぺらぼうの住人の館へ行き、「黄金の剣」(?)を持ち帰ること
目のない住人は、前のさらに眼球を載せていて、まるで死体のごとし。小さい靴の山を見ると、まさに子供に目がない「死神」
途中の食物を食べてはいけないのは、女王が粗忽なつまみ食いをしてはいけないという高いモラルと、死人に食べ物はいらないという含みを持たせているようだ。だからこそ、パンはつまみ食いを許さない
(実のところ、ここまで啓蒙的な教訓と解釈できたが)
三つ目は無垢なる者の血を捧げること
ここにおいて、パンはキリスト教社会における悪魔の顔を見せる。羊頭の神様はキリスト教が浸透するや、魔物の領域に追いやられている
血をもって開く扉の先に待つのは、明らかに「死者の国」だ。死なないと入れないのである
本来なら少女が「死者の国」で生命の真実に触れ、大人になって帰ってくるのが、この手のファンタジーの王道なのだが、戻るべき現実は「死者の国」より地獄だったということだろう……
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