【BD】『ダークナイト ライジング』

読解には予習の欠かせないシリーズ

ダークナイト ライジング [Blu-ray]ダークナイト ライジング [Blu-ray]
(2013/06/26)
クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン 他

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バッドマンが姿を消してから八年後、ゴッサム・シティハービー・デントの名を冠した新法により犯罪検挙率は上昇し、治安を回復していた。ウェイン財閥の当主ブルース・ウェイン(=クリスチャン・ベール)は、最愛の恋人を無くしたショックから豪邸で引きこもりを続け、メイドに扮した泥棒(=アン・ハサウェイ)に逃がす始末。そんなバッドマン不在のゴッサムに、マスクの男ベイン(=トム・ハーディ)が陰謀を巡らせて……

う~ん、全体的に練れていない印象かな
人間関係では前々作『バットマンビギンズ』の決着であり、時系列的にも『ダークナイト』の八年後で、シリーズ二作の視聴が前提となっている。本作をいきなり観てしまっても、いまいち話が理解できないだろう
管理人も前々作を観て数年経つので、主要人物の把握に時間がかかってしまった
ただ分かりにくいのは予備知識のせいだけではない。これがハリウッド映画かと疑うほど、構成が整理されていないのだ
三時間近い長尺は、単に詰め込み過ぎなだけで、何を伝えたいのかということが絞れ切れていない
また、アメコミ志向とリアル志向のベクトルがぶれ過ぎているのも致命的で、自動小銃を持つ傭兵に警官が突撃する流れは失笑ものである
ベイン原作では最強の敵らしいが、あの風貌で社会的文脈を語られても悪い冗談にしか思えない(苦笑)。知的ヒールではないのだ
前作のジョーカーがいかにスペシャルだったかが、ということが良く分かった
本作の評価があまり良くないのは、前作が神だったからではなく、ハリウッドにあるまじき出来栄え故である

ベインラーズ・アル・グールに「影の同盟」を破門された存在だが、その意志を引き継いでゴッサム・シティの破壊を企む
彼はまず、警察を排除して刑務所から囚人を解放し、暴力による新しい秩序を作る
そこでは法は機能せず、結論ありきの人民裁判で処刑が決まる。その在り様は、スターリン体制か、あるいは失敗国家の武装組織を連想させる
貧困層を地下道に雇い入れ、証券取引所を襲撃し、金持ちを裁くところ、本人の出自に含めて日のあたる場所で生きる者への怨念から、反資本主義的でもある
しかし、暴力に築いた秩序は、既存の社会より弱者に厳しいものであり、上下が入れ替わっただけに過ぎない。それでも、社会で下層に追いやられた者にとっては、その変動だけでも魅力であり、キャットウーマンみたいにそもそも最底辺にいる犯罪者にとって、それ以上事態が悪化するわけでもない
これが経済的・精神的に追いやられた人間が、過激な政治活動に吸い寄せられる理由なのだろう

しかし、ベインやその黒幕が自らもろとも街を爆破するのは、現代のテロリストに対する誤まった認識から成り立っているとしか思えない。『ビギンズ』に引き続くオリエンタリズムを感じてしまった
バットマンが裏切られる展開も原作コミックの設定を知らなければピンと来ず、それまでの社会派志向と相容れない。上流階級に入り込んだ者がわざわざ身を落としては、テーマと整合性がとれない
バットマンの代替わりからブルース・ウェインとしての新しい人生という、ラストにいい場面が撮れているのに、全体の完成度の低さが残念だ


前作 【映画】『ダークナイト』
前々作 【DVD】『バットマンビギンズ』
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