『ロシア 語られない戦争 チェチェンゲリラ従軍記』 常岡浩介

「イスラム国」にも人脈があるそうで


ロシア 語られない戦争 チェチェンゲリラ従軍記 (アスキー新書 71)ロシア 語られない戦争 チェチェンゲリラ従軍記 (アスキー新書 71)
(2008/07/10)
常岡 浩介

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十数年続くチェチェン紛争では何が起こっていたのか。リトビネンコとも親交があった著者がゲリラ側に従軍し、ロシアの闇を暴く
報道で聞く以上に、想像を超えた悲劇がそこにはあった
著者はイスラム教徒であり、チェチェン側に大きく肩入れしているものの、何せロシア側の報道統制がひど過ぎる!
プーチン政権とその基盤であるFSB(ロシア連邦保安庁)が、チェチェンの実態を取材する人間を片っ端から、拘束、追放、果ては謀殺と弾いていくので、ゲリラ側から入らないと真相が分からないのだ
日本のマスコミに流通している情報は、ロシアによる大本営発表、あるいは公式発表に準じたものに過ぎず、その枠からはみ出た者はスパイとしてつまみ出される
独立派側の資金源については不明で、やや美化されている嫌いもあるが、ホロコースト、原爆投下に匹敵する悲劇を暴露する意味は大きい

チェチェン独立派は、いつのまにか「原理主義者」というレッテルが貼られ、アルカイダたちと同じテロリスト集団にされてしまったが、元はロシアからの独立を目指すレジスタンスだった
イスラム教を勉強する著者によると、イスラム教に「原理主義者」という概念はないらしく、単にキリスト教の聖書主義から流用したものに過ぎない
彼らは民族の独立を目指しているだけで、他地域への侵略や異教徒には関心がない
それをテロリスト集団に仕立てたのは、FSBだった
彼らは第一次チェチェン戦争の教訓から、ディスクレジット(信用失墜)作戦を展開した
モスクワの公共住宅、マンションに自作自演の連続爆破事件を仕掛け、息のかかったチェチェン人のグループを用意して人質殺害のビデオを作らせて、外国のメディアへ配らせる
有名なのはモスクワの劇場占拠事件(2002年)、北オセチア共和国の中学校立て籠もり事件(2004年)で、独立派をテロに誘うことで悲劇的な結末を演出したという
FSBによるトロイの木馬を許したこと、一時期アルカイダと関係のある司令官を戴き開戦の口実を与えたことなど、独立派に脇の甘さはあるにしても、謀略のために自国民の犠牲を厭わないロシア政府の姿勢は異常だ

チェチェン紛争は十数年続くうちに、徐々に意味が変わってきたらしい
ロシア軍の侵攻、略奪で人口の4分の1(!!)が消えたチェチェンでは、傀儡のロシア派大統領が治めるが、紛争の種は消えない
そして旧ソ連地域では、各共和国の独立後に石油資源を絡めた国境紛争が絶えず、各地域の少数民族も絡んで複雑な様相を見せている。例えば、グルジア共和国のアブハジアでは、ロシアの応援を受けた独立運動が起こり、チェチェン独立派がグルジアと手を組んで現地軍と駐留ロシア軍と交戦するケースもあった
チェチェン独立派にも、他国のレジスタンスが流入して、その紐帯としてイスラム色が濃くなっていて、それが「原理主義者」のレッテル貼りに貢献してしまったらしい
本書は著者も認めるようにチェチェン独立派びいきが激しいものの、それもロシア政府からの政治宣伝と相殺するのが目的。細かい部分はともかく、読者の問題意識を変える力がある


ロシア闇の戦争―プーチンと秘密警察の恐るべきテロ工作を暴くロシア闇の戦争―プーチンと秘密警察の恐るべきテロ工作を暴く
(2007/06)
アレクサンドル・リトヴィネンコ、ユーリー・フェリシチンスキー 他

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