『太平天国』 第2巻 陳舜臣

清軍も意外と頑張ってた


太平天国〈2〉 (講談社文庫)太平天国〈2〉 (講談社文庫)
(1988/11)
陳 舜臣

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洪秀全はついに拝上帝会を率い、広西省金田村で蜂起。太平天国と称した。清軍の包囲に対して偽計をもって突破し、同省内の永安に進駐した。清軍は士気の高い太平軍に苦戦しつつ、地の利を生かした包囲戦で行く手を遮るも、文官・軍人の内輪もめで好機を逸しってしまう。しかし国を憂える連維材は、北京で曽国藩に働きかける

第2巻で、蜂起した太平天国は、確かな拠点を求めて彷徨っていく
それに対して清軍は、現地の自警団=郷勇と協力して、包囲戦を展開する。士気は高くても兵糧に乏しい太平軍は持久戦に苦しむが、肝心なところで清軍は墓穴を掘る
原因のひとつは、成り立ちの違う軍隊同士の嫉妬
満州八旗(満州貴族の軍)の鳥蘭泰、緑営(漢人の官軍)の向栄は、相手が手柄を立てようとすると手控え、自分の失敗を別の軍に押し付けようと牽制し続ける。地元に近いゆえに、唯一真面目に戦っていた郷勇の江忠源は、軍を消耗させて帰郷せざるえなくなった
地元の行政官と軍人の対立も深刻で、皇帝の詔勅を盾にえばる将軍に、「本来は私のほうが偉い、先輩だ」と役人が協力を拒んだりと、組織の末期ぶりが随所に描かれている
そんな清朝に対し、複雑なスタンスを見せるのが主人公の父、連維材である
彼にとって「国家」が大事で、「王朝」はそれに乗っかる取替え可能なものにすぎないが、太平天国が海ものとも山ものとも分からぬ以上、国家が本格的に傾くのも困る
そこで息子が太平天国にいながら、清朝側の人材の梃入れにも乗り出す。実子を捨て駒にする筋は分からんが(苦笑)、彼のヒキで次代の英雄たちが結合し新しいうねりが生まれるのだ

太平天国側は士気は旺盛なものの、意外に清軍に勝ちきれない
腐っても清軍の火力は手強く、太平天国の南王・馮雲山は大砲の砲撃に巻き込まれ命を失ってしまう
彼の死によって洪秀全と楊秀清の二頭体制は、楊秀清の独裁へ大きく傾いていく。今まで注意深く絞ってきた、太平軍への流賊の編入が広げられ、馮雲山の仇を口実に屠城(住民のジェノサイド!)を行うなど、禁欲的だった軍の体質が変わっていくのだった
作中では、太平天国にユートピアを夢見ていた女山賊・李新妹が、屠城にショックを受けて離脱してしまう
湖南地方においては天地会系の流賊の力を借りざるえず、楊秀清の方針は一種のリアリズムではあったのだが、太平天国本来の強みを削るものでもあった


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